自宅でできる血糖値の測り方 | 正しい手順と測定器の種類
血糖値を自分で正確に測ることは、健康管理、特に糖尿病やその予備群の方にとって非常に重要です。
日々の血糖値の変動を把握することで、病状のコントロールや合併症の予防に繋がります。
しかし、「どうやって測るの?」「どんな機器が必要?」「いつ測るのが正しいの?」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
この記事では、血糖値の正しい測り方について、必要な機器、測定タイミング、最新技術、購入方法まで、初心者の方にも分かりやすく解説します。
日々の血糖値測定を効果的に行うための知識を身につけ、ご自身の健康管理に役立てましょう。
血糖値測定の必要性|なぜ血糖値を測るのか
血糖値とは、血液中に含まれるブドウ糖の濃度を示す値です。
ブドウ糖は体の主要なエネルギー源ですが、その濃度が高すぎたり低すぎたりすると、体に様々な影響を及ぼします。
血糖値が高い状態が続くと、糖尿病を発症したり、糖尿病の合併症(神経障害、網膜症、腎症、心血管疾患など)のリスクが高まります。
逆に、血糖値が低すぎると、めまいや意識障害などの低血糖症状を引き起こす可能性があります。
血糖値を測定する主な目的は以下の通りです。
- 病状の把握: 現在の血糖値がどのくらいのレベルにあるのかを確認し、病状の進行度やコントロール状況を把握します。
- 治療効果の確認: 薬物療法や食事療法、運動療法が血糖値にどのように影響しているかを知り、治療の効果を評価します。
- 体調変化の原因特定: 体調が優れないときやいつもと違う症状があるときに、それが高血糖や低血糖によるものかを判断します。
- 合併症予防: 良好な血糖コントロールを維持することで、将来的な合併症の発症や進行を遅らせることに繋がります。
特に糖尿病と診断された方や、治療を受けている方にとっては、血糖値測定は日々の生活の中で欠かせない管理方法の一つとなります。
血糖値は自分で測れる?血糖自己測定とは
はい、血糖値はご自身で測ることができます。
これを「血糖自己測定(SMBG:Self-Monitoring of Blood Glucose)」と呼びます。
医療機関で行う採血検査とは異なり、ご自宅や外出先など、場所を選ばずにいつでも血糖値を測定できるのが特徴です。
血糖自己測定を行うことで、食事の内容や量、運動、ストレス、体調の変化など、様々な要因がご自身の血糖値にどのように影響するかをリアルタイムに把握できます。
これにより、よりきめ細やかな血糖コントロールが可能となり、生活習慣の改善や治療計画の見直しに役立てることができます。
血糖自己測定は、主に糖尿病患者さんが行いますが、医師の指導のもと、健康診断で血糖値が高めだった方や、ご自身の健康管理に関心のある方が行う場合もあります。
ただし、測定の頻度やタイミングは、個々の病状や治療目標によって異なりますので、必ず医師や薬剤師、看護師などの医療専門家と相談して行うことが重要です。
血糖値の主な測定方法
血糖値を測定する方法には、主に以下の3種類があります。
病院での採血検査
医療機関で行われる採血検査は、血糖値測定の基本的な方法です。
腕の静脈から血液を採取し、専門の検査機器で測定します。
診断時や治療効果の評価、合併症の有無などを調べるために定期的に行われます。
- 空腹時血糖値: 10時間以上絶食した状態で測る血糖値。
糖尿病の診断基準の一つです。 - 随時血糖値: 食事時間に関係なく測る血糖値。
明らかな高血糖がある場合などに測ります。 - HbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー): 過去1~2ヶ月の平均的な血糖値を反映する指標です。
赤血球中のヘモグロビンにブドウ糖が結合した割合を示し、血糖コントロールの長期的な状態を評価する上で非常に重要です。 - 経口ブドウ糖負荷試験(OGTT): 一定量のブドウ糖液を飲み、その後の血糖値の変化を複数回測定する検査です。
糖尿病型かどうかの診断に用いられます。
これらの検査は、その時点の血糖値だけでなく、過去の血糖コントロール状況や、糖代謝の状態をより詳しく把握するために行われます。
血糖自己測定器(SMBG)による測定
自宅で手軽に血糖値を測定できる方法です。
指先などに小さな針を刺して少量の血液を採取し、専用の測定器で血糖値を測定します。
SMBGに必要なもの(測定器本体、センサー、穿刺器具、採血針)
SMBGを行うためには、いくつかの専用品が必要です。
- 血糖測定器本体: 採取した血液をセットしたセンサーを差し込み、血糖値を表示する機器です。
小型で持ち運びやすいものが多くあります。 - 血糖測定用センサー(試験紙): 測定器に差し込んで使用する使い捨ての試験紙です。
血液を吸い込ませる部分があり、測定器がその成分を読み取って血糖値を計算します。
製品ごとに互換性がないため、必ず使用する測定器に対応したセンサーを選びます。 - 穿刺器具: 指などに採血針をセットして使用する器具です。
採血針を刺す深さを調整できるものもあります。 - 採血針(穿刺針): 穿刺器具にセットして使用する使い捨ての細い針です。
指先などに小さな穴を開けて血液を出すために使います。
一度使った針は必ず交換し、再使用は絶対に避けてください。 - アルコール綿: 採血する部分を消毒するために使用します。
- 廃棄容器: 使用済みの採血針やセンサーを安全に廃棄するための専用容器です。
これらの消耗品(センサー、採血針など)は定期的に購入する必要があります。
SMBGの基本的な手順
SMBGの基本的な手順は以下の通りです。
- 準備: 必要な物品(測定器、センサー、穿刺器具、採血針、アルコール綿、廃棄容器)を準備します。
- 手洗い・消毒: 測定する前に、石鹸で手をよく洗い、清潔な状態にします。
可能であれば、採血する指先をアルコール綿で消毒し、完全に乾かします。
水分が残っていると測定値に影響することがあります。 - センサーセット: 血糖測定器の電源を入れ、対応するセンサーをセットします。
- 採血針のセット: 穿刺器具に新しい採血針をセットします。
- 採血: 穿刺器具を指先(指の腹の端の方を推奨されることが多いです)に当て、ボタンなどを押して針を刺します。
強く押しすぎず、自然に血液が出てくるのを待ちます。
指先を軽くマッサージすると血液が出やすくなることがあります。 - 血液の吸い込み: 出てきた血液をセンサーの指定された部分に触れさせ、血液を吸い込ませます。
血液を指先から絞り出すようにすると、組織液が混ざって正確な値が出ないことがあるため避けてください。 - 測定・表示: センサーが血液を吸い込むと、測定器が自動的に血糖値を測定し、数秒~数十秒でディスプレイに表示します。
- 記録: 表示された血糖値を、日時とともに記録します。
手帳や専用アプリなどを利用すると便利です。 - 後片付け: 使用済みのセンサーと採血針は、感染予防のため必ず専用の廃棄容器に捨てます。
これらの手順は一般的なものであり、使用する機器によって細かい手順が異なる場合があります。
必ず付属の取扱説明書を確認してください。
連続血糖測定器(CGM/FGM)による測定
近年普及が進んでいる新しい測定方法です。
皮下に小さなセンサーを留置し、間質液中のブドウ糖濃度を継続的に測定します。
これにより、血糖値の変動をリアルタイムまたは近い時間で把握することができます。
CGM(Continuous Glucose Monitoring:持続血糖測定)とFGM(Flash Glucose Monitoring:瞬間血糖測定)があります。
パッチ式センサーの特徴(針なし、刺さない方法)
SMBGのように毎回指先に針を刺す必要がないのが最大の特徴です。
センサーは小さなパッチ状になっており、腕やお腹などの皮下に細く柔らかい(またはごく細い)センサーを留置します。
一度装着すると、製品によりますが、通常10日間~2週間程度センサーを交換せずに済みます。
「針なし」や「刺さない」といった表現について補足します。 センサーを皮下に留置する際には、導入器と呼ばれる器具を使ってセンサーを皮膚に装着します。
この導入器には細い針が含まれており、センサーを皮膚に挿入する際に瞬間的に針が刺さります。
しかし、センサー自体は柔軟な素材でできており、一度装着してしまえば皮膚に刺さった状態が継続するわけではありません(製品によってはごく細い硬い針の場合もあります)。
日常的な測定時に毎回針を刺す必要がないため、「刺さない」や「針なし」(指先採血における「針なし」とは少し意味合いが異なります)と表現されることがあります。
スマートフォン・アプリとの連携(フリースタイルリブレ等)
CGM/FGMの多くは、専用のリーダーやスマートフォンと連携して使用します。
- FGM(例: フリースタイルリブレ): センサーにリーダーや対応するスマートフォンをかざす(スキャンする)ことで、その時点の血糖値(間質液中のブドウ糖濃度)と過去の変動グラフ、血糖トレンド(上昇・下降の傾向)を確認できます。
リアルタイムではないものの、指先採血に比べてはるかに頻繁に情報を得られます。 - CGM(例: メドトロニック ガーディアン、デクスコム G6/G7など): センサーが測定したデータをBluetoothなどでスマートフォンや専用機器にリアルタイムで送信します。
現在の血糖値だけでなく、血糖値のトレンド(グラフ)を常に確認でき、高血糖や低血糖になりそうな場合にアラートを受け取る機能もあります。
これらの機器やアプリを利用することで、血糖値の「点」の情報だけでなく、「線」として変動を捉えることができ、食後や夜間の血糖変動など、SMBGだけでは把握しきれなかった情報を得られます。
スマートウォッチ単体での正確な血糖値測定について
「スマートウォッチで血糖値が測れる」といった情報を見かけることがありますが、現状、一般的に販売されているスマートウォッチ単体で、医療用途として信頼できる正確な血糖値を継続的に測定できる製品は存在しません。
非侵襲(体を傷つけない)で血糖値を測定する技術は世界中で研究開発が進められていますが、皮膚を通して光や電波などで血糖値を正確に測定することは非常に難しく、まだ実用化には至っていません。
一部の製品が「血糖トレンドの参考になる」といった機能を謳っている場合もありますが、これはあくまで参考情報であり、医学的な診断や治療方針決定に使える精度ではありません。
血糖値測定が必要な場合は、必ず医療機器として認証・承認されているSMBGやCGM/FGMを使用してください。
血糖値を測る最適なタイミング
血糖値を測る最適なタイミングは、血糖コントロールの目的や個人の病状、治療内容によって異なります。
しかし、一般的に重要とされるタイミングは以下の通りです。
食前血糖値
食事を摂る前の血糖値です。
通常、前回の食事から2時間以上(できれば8時間以上)経過した空腹時の状態を指すことが多いです。
インスリン注射や血糖降下薬を使用している方にとっては、投与量の決定に影響を与える重要なタイミングです。
食後2時間血糖値
食事を始めてから2時間後の血糖値です。
食事が血糖値に与える影響を評価するために重要です。
健康な方でも食事を摂ると血糖値は上昇しますが、通常は食後2時間以内には元の値に戻るか、それに近い値になります。
しかし、糖尿病の方では食後の血糖値が大きく上昇したり、長時間高値が続いたりすることがあります。
随時血糖値
食事時間に関わらず、任意のタイミングで測定した血糖値です。
体調が優れない時や、低血糖や高血糖の症状が疑われる時などに測定します。
就寝前血糖値
寝る前に測定する血糖値です。
夜間の血糖値の変動を予測し、就寝中の低血糖を防ぐために重要です。
測定タイミングの選び方
どのタイミングで測定するかは、医師や医療チームとの相談で決めます。
- 診断や治療方針決定: 病院での空腹時血糖値やHbA1cなどが重視されます。
- 治療効果の確認: 薬の種類や生活習慣の改善状況に応じて、食前、食後、就寝前などが選ばれます。
例えば、インスリンの種類によっては食前、食後、寝る前など複数のタイミングでの測定が必要です。 - 生活習慣の影響把握: 食事や運動が血糖値に与える影響を知りたい場合は、食事の前後や運動の前後などに測定すると良いでしょう。
- 低血糖・高血糖の症状時: 随時血糖値を測定し、原因を特定します。
SMBGを始めたばかりの頃や、治療法を変更したばかりの頃は、頻繁に測定して血糖値の変動パターンを把握することが推奨されることが多いです。
病状が安定してきたら、測定回数を減らすこともあります。
CGM/FGMを使用している場合は、常に血糖値の変動を把握できるため、特定のタイミングで「測定する」という意識は薄れますが、センサーの装着期間中は継続的にデータが記録されます。
血糖測定器の種類と選び方
現在、自分で血糖値を測定できる主な機器は、SMBG(指先採血タイプ)とCGM/FGM(センサータイプ)に大別されます。
それぞれの特徴を理解し、ご自身のライフスタイルや測定目的に合った機器を選ぶことが大切です。
センサータイプ(CGM/FGM)
皮下に装着したセンサーで数日~2週間程度、継続的に血糖値(間質液中のブドウ糖濃度)を測定するタイプです。
- メリット:
- 指先採血の回数を大幅に減らせる(FGMは定期的なスキャン、CGMはリアルタイム)。
- 血糖値の変動(上昇・下降のトレンドやスピード)をグラフで把握できる。
- 夜間や無自覚性の低血糖・高血糖を発見しやすい。
- 食事や運動などの影響を視覚的に捉えやすい。
- デメリット:
- SMBGに比べて機器やセンサーのコストが高い傾向がある。
- センサーを皮下に装着する手技が必要。
- 間質液中のブドウ糖濃度を測るため、血液中の血糖値とは数分程度のタイムラグがある。
- 医療機関での処方が必要な場合が多い。
- 水濡れに注意が必要な場合がある。
主に、インスリン療法を行っている方や、血糖変動が大きい方、夜間の低血糖が心配な方などに推奨されることが多いです。
指先採血タイプ(SMBG)
毎回、指先などに針を刺して血液を採取し、専用のセンサーで測定するタイプです。
- メリット:
- 測定したい「その時点」の血糖値(血液中の血糖値)を測れる。
- 機器の種類が豊富で、比較的安価な製品もある。
- 必要な時だけ測定できる。
- 携帯性に優れているものが多い。
- デメリット:
- 測定の度に指先に針を刺す必要がある。
- 測定は「点」の情報であり、血糖値の変動パターンを把握しにくい。
- 測定回数を増やすと、指先に負担がかかることがある。
- センサーや針などの消耗品を常に準備しておく必要がある。
糖尿病の診断や治療を始めたばかりの方、インスリンを使用していない方、費用を抑えたい方など、幅広い層で利用されています。
ただし、CGM/FGMを使用している場合でも、機器の校正や低血糖が疑われる場合など、SMBGでの確認測定が必要になることがあります。
針なし最新技術について
前述の通り、現在の医療機器として承認されている血糖測定器は、何らかの方法で体液(血液または間質液)を採取する必要があります。
「全く針を刺さない」で、かつ医療用途として十分な精度を持つ血糖測定技術は、研究段階であり、まだ実用化されていません。
しかし、SMBGにおいても、採血針が非常に細くなったり、穿刺器具の技術が進歩したりすることで、採血時の痛みが軽減される工夫がされています。
また、FGMのように、一度センサーを装着すれば数日間は採血が不要になる技術も普及しています。
将来的に完全に非侵襲で正確な測定ができる技術が登場する可能性はありますが、現時点では「針なし」と謳う製品には注意が必要です。
測定器選びのポイント
測定器を選ぶ際は、以下の点を考慮しましょう。
項目 | SMBG(指先採血) | CGM/FGM(センサー式) | 選び方のポイント |
---|---|---|---|
測定方法 | 毎回指先採血 | 皮下センサー(数日~2週間持続)、スキャンまたはリアルタイム | 指先採血の頻度を減らしたいか、継続的な変動を把握したいか |
得られる情報 | その時点の血糖値(点) | 継続的な血糖値(間質液中)の変動パターン(線) | 必要なのは特定のタイミングの値か、24時間の変動か |
精度 | 血液中の血糖値を直接測定 | 間質液中のブドウ糖濃度を測定(タイムラグあり) | 診断や厳密な治療コントロールには血液中の値が基本。変動把握にはCGM/FGMも有効。 |
コスト | 測定器本体は比較的安価、センサー・針は測定回数分必要 | 測定器本体・センサーともに高価な傾向 | 測定頻度や期間、保険適用の有無などを考慮 |
使いやすさ | 操作は比較的シンプル、手技に慣れる必要あり | センサー装着の手技、リーダーやアプリ操作が必要 | 機器のサイズ、画面表示の見やすさ、操作性、アプリとの連携の有無 |
痛みの程度 | 毎回瞬間的に針を刺す痛み | センサー装着時の一瞬の痛み、日中の痛みは少ない | 痛みに敏感かどうか |
主な対象者 | 幅広い糖尿病患者、健康管理に関心のある方 | インスリン療法中の方、血糖変動が大きい方、夜間低血糖の懸念 | 医師との相談が最も重要。個々の病状や治療目標に合わせる |
これらの要素を比較検討し、医師や医療従事者とよく相談して、ご自身に最適な機器を選びましょう。
血糖測定器・消耗品はどこで買える?
血糖測定器やその消耗品は、医療機器であり、購入方法にはいくつかのルートがあります。
薬局やオンラインストア
薬局(ドラッグストアや調剤薬局)や、医療機器を取り扱うオンラインストアで購入することができます。
- 血糖測定器本体: 一部の製品は薬局やオンラインストアで購入可能です。
ただし、医療機器であるため、購入時には薬剤師からの説明を受ける必要がある場合があります。 - センサー(試験紙)や採血針: これらは消耗品であり、薬局やオンラインストアで継続的に購入できます。
製品によって互換性がないため、お使いの測定器に対応したものを購入してください。
オンラインストアで購入する場合は、信頼できる販売元を選ぶことが重要です。 - FGM(フリースタイルリブレなど): センサーは医療機器として薬局やオンラインストアで購入できますが、使用開始にあたっては医師の指導が必要な場合がほとんどです。
リーダーも別途購入が必要となることがあります。
医療機関での購入/処方
糖尿病などで治療を受けている場合、医療機関を通して血糖測定器や消耗品を入手することが多いです。
- 血糖測定器本体: 医療機関で貸し出されたり、購入方法について案内されたりします。
- センサーや採血針: 医師の指示に基づいて、医療機関から処方箋が出され、それを持って薬局で購入します。
特定の疾患(例:インスリン療法を行っている糖尿病患者さん)の場合、血糖測定器や消耗品の一部に健康保険が適用されます。
保険適用となる測定回数には上限がある場合があります。 - CGM/FGM: センサーや関連機器は、医療機関で診断や指導を受けた上で、処方箋が出されることが一般的です。
保険適用についても、医師と相談してください。
ご自身の病状や治療内容によって、保険適用の有無や購入方法が異なりますので、必ず主治医や薬剤師に確認しましょう。
個人輸入などで安価な製品を見かけることがありますが、品質や安全性、互換性などが不明確なため、推奨できません。
必ず国内で承認された正規の医療機器を使用しましょう。
血糖値測定に関する注意点
血糖値を正確に測定し、その結果を有効活用するためには、いくつかの注意点があります。
正確に測るためのポイント
SMBGで正確な血糖値を測るためには、以下の点に注意しましょう。
- 手洗い: 測定前に石鹸で手を洗い、清潔にすることが最も重要です。
食べ物やジュースなどの糖分が指先に付着していると、実際よりも高い値が出てしまいます。
洗った後は、完全に水分を拭き取りましょう。 - 採血部位: 指の腹の端の方、または第二関節より先の方で採血すると、痛みが少ない傾向があります。
毎回同じ場所ではなく、指をローテーションして使用すると、指への負担を減らせます。 - 適切な採血量: センサーが必要とする採血量は機器によって異なりますが、指定された量を正確に吸い込ませることが重要です。
血液が足りないと、測定エラーになったり、正確な値が出なかったりします。
ただし、無理に絞り出すと組織液が混ざって値が低めに出ることがあるので注意が必要です。
自然に出た血液を吸い込ませるのが理想です。 - センサー(試験紙)の管理: センサーは湿度や温度に弱いため、直射日光を避け、決められた保管方法に従って保管しましょう。
開封後は、定められた期間内に使い切るようにし、使用期限が切れたものは使用しないでください。 - 機器の管理: 測定器本体は清潔に保ち、落下などの衝撃を与えないようにしましょう。
バッテリー残量も確認しておくと安心です。 - 温度: 極端に暑い場所や寒い場所では、測定値が不正確になることがあります。
機器の取扱説明書を確認し、推奨される使用温度範囲内で測定しましょう。
CGM/FGMを使用している場合でも、センサーの装着部位を清潔に保つ、激しい運動などでセンサーが剥がれないようにする、水濡れに注意するといった点は同様に重要です。
測定値の記録と活用方法
測定した血糖値は、単に「測る」だけでなく、「記録し、活用する」ことが非常に重要です。
- 記録内容: 測定日時、測定値はもちろん、その時の状況(食事内容、運動、体調、使用した薬の種類と量など)を一緒に記録すると、血糖値が変動した原因を分析しやすくなります。
- 記録方法: 手帳やノートに手書きで記録するのも良いですが、最近ではスマートフォンアプリや専用ソフトを利用すると、データの管理やグラフ化が容易に行えます。
CGM/FGMの場合は、自動的にデータが記録されるため、管理がさらに簡単です。 - 活用方法:
- 傾向の把握: 記録されたデータを見ることで、ご自身の血糖値がどのようなパターンで変動するのか(食後に上がりやすい、夜間に低くなるなど)を把握できます。
- 医師への共有: 診察時に測定記録を持参またはデータを提供することで、医師があなたの血糖コントロール状況をより正確に把握し、適切な治療方針の決定やアドバイスに役立てられます。
- 生活習慣の見直し: どのような食事や運動が血糖値に良い影響を与えるか、あるいは悪い影響を与えるかを記録から分析し、具体的な生活習慣の改善に繋げることができます。
- 低血糖・高血糖への対応: 過去のデータに基づいて、低血糖や高血糖になりやすい状況を予測し、事前に対策を立てたり、早期に気づいて適切に対処したりすることが可能になります。
血糖値測定は、医療専門家とのコミュニケーションを深め、より効果的な治療や健康管理を進めるための強力なツールとなります。
まとめ|血糖値測定で健康管理を始めましょう
血糖値測定は、ご自身の体の状態を知り、適切な健康管理を行う上で非常に有効な手段です。
特に糖尿病やその予備群の方にとっては、病状の把握、治療効果の確認、合併症予防のために欠かせない日課となることもあります。
自分で血糖値を測る方法には、指先採血を行うSMBGと、センサーを装着して継続的に測定するCGM/FGMがあります。
それぞれの機器には特徴があり、ご自身のライフスタイルや測定目的、予算などを考慮して選ぶ必要があります。
購入場所も、薬局やオンラインストア、医療機関など様々ですが、医療機器であるため、必ず信頼できる正規のルートで購入し、使用方法については医療専門家の指導を受けるようにしましょう。
正確な測定のためには、事前の手洗いや適切な採血手技、センサーや機器の正しい管理が重要です。
そして、測定した値は必ず記録し、日々の体調や生活習慣と合わせて振り返ることで、血糖値の変動パターンを理解し、より効果的な血糖コントロールに繋げることができます。
記録したデータは、医師との診察時に共有し、今後の治療や管理に役立てましょう。
血糖値測定は、少し手間がかかるように感じるかもしれませんが、ご自身の健康を守るための第一歩です。
この記事を参考に、正しい知識と方法を身につけ、日々の血糖値測定を健康管理に活かしてください。
もし疑問や不安がある場合は、必ず医師や薬剤師、看護師などの医療専門家に相談しましょう。
免責事項:
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の疾患の診断や治療、特定の製品の使用を推奨するものではありません。
血糖値測定に関する具体的な方法や機器の選択、測定頻度やタイミング、測定値の解釈については、必ず医師や薬剤師、その他の医療専門家の指示に従ってください。
本記事の情報に基づいて行った行為によって生じた結果について、当方は一切の責任を負いかねます。