インスリン注射の種類まるわかり!作用時間・効果・選び方
糖尿病の治療において重要な役割を果たすインスリン注射には、いくつかの種類があります。
それぞれのインスリン製剤は、体内で働くスピードや効果が持続する時間が異なり、患者さん一人ひとりの病状や生活スタイルに合わせて使い分けられています。
インスリンの種類を理解することは、適切な血糖コントロールを行う上で非常に大切です。
この記事では、インスリン注射の種類について、その分類や特徴、代表的な製剤、そしてどのように使い分けられているのかを詳しく解説します。
インスリン療法を行っている方やこれから始める方にとって、ご自身の治療への理解を深める一助となれば幸いです。
インスリン注射の種類
インスリン注射は、体内で作られるインスリンというホルモンを補うことで、血糖値を下げる治療法です。
インスリンは食事によって上がった血糖を細胞に取り込ませたり、肝臓で糖が作られるのを抑えたりする働きがあります。
糖尿病、特に1型糖尿病の方や、2型糖尿病でも飲み薬やGLP-1受容体作動薬だけでは血糖コントロールが難しい場合などに用いられます。
しかし、私たちの体内でインスリンは常に一定量分泌されているわけではありません。
食事を摂ると追加で分泌され、食後高くなった血糖値を下げます。
食事以外の時間も、肝臓からの糖の放出を抑えるために少量ずつ分泌されています。
インスリン療法では、この体のインスリン分泌パターンをできるだけ再現することを目指します。
そのため、効果があらわれるまでの時間や効果の持続時間が異なる様々な種類のインスリン製剤が開発されています。
インスリン注射の種類と分類
インスリン製剤は、主にその「作用発現時間(効果があらわれるまでの時間)」と「作用持続時間(効果が続く時間)」によって大きくいくつかの種類に分類されます。
この作用時間の違いは、製剤に含まれるインスリンの分子構造や、添加されている物質、結晶の大きさが関係しています。
インスリン製剤の効果時間による分類
インスリン製剤は、一般的に以下の6つのタイプに分類されます。
それぞれのタイプに特徴があり、血糖コントロールの目標や生活リズムに応じて使い分けられます。
超速効型インスリンの種類と特徴
超速効型インスリンは、注射してから効果があらわれるまでの時間が非常に短く、効果のピークも比較的早く訪れます。
主に食後の急激な血糖上昇(血糖スパイク)を抑える目的で使用されます。
食事の直前や、場合によっては食事の開始と同時に注射することが可能です。
- 作用発現時間: 注射後約5~15分
- 作用持続時間: 約3~5時間
- 主な特徴:
- 食後の血糖上昇を速やかに抑える。
- 食事の直前または食事開始と同時に注射できるため、食事の時間に合わせて柔軟に対応しやすい。
- 効果時間が短いため、低血糖のリスクが比較的低いとされる(ただし、投与タイミングや食事量に注意が必要)。
- 代表的な製剤:
- ノボラピッド注フレックスペン/イージータッチ
- ヒューマログ注ミリオペン/イーライリーペン
- ルムジェブ注ミリオペン/クィックペン
ノボラピッドやヒューマログは、ヒトインスリンのアミノ酸配列を一部変更することで、皮下注射後の吸収を速くした製剤です。
一方、ルムジェブは、ヒューマログにさらに吸収促進剤を添加することで、より速やかな作用発現を実現した製剤です。
より早い食後血糖上昇の抑制が必要な場合などに検討されます。
速効型インスリンの種類と特徴
速効型インスリンは、かつて食後血糖のコントロールの主体として使われていましたが、超速効型インスリンの登場により、使用頻度は減少傾向にあります。
効果があらわれるまでにやや時間がかかるため、食事の約30分前に注射する必要があります。
- 作用発現時間: 注射後約30分~1時間
- 作用持続時間: 約5~8時間
- 主な特徴:
- 超速効型よりは緩やかに作用する。
- 食事の30分前に注射する必要があり、食事時間との兼ね合いが重要。
- 効果時間が比較的長いため、食後しばらくの血糖上昇を抑える。
- 代表的な製剤:
- ノボリンR注フレックスペン
- ヒューマリンR注ミリオペン/イーライリーペン
速効型インスリンは、特に決まった時間に食事を摂る方や、超速効型インスリンで効果が不十分な場合などに選択されることがあります。
中間型インスリンの種類と特徴
中間型インスリンは、効果があらわれるまでに時間がかかりますが、比較的長時間効果が持続する製剤です。
1日1回または2回注射することで、食事以外の時間帯(空腹時や夜間)の基礎的なインスリン分泌を補う目的で使用されることがあります。
- 作用発現時間: 注射後約1~3時間
- 作用持続時間: 約18~24時間
- 主な特徴:
- 効果の発現は遅いが、持続時間が長い。
- 基礎インスリンを補う目的で使用される。
- 製剤が懸濁液(白濁している)であるため、使用前に均一になるよう振る必要がある。
- 代表的な製剤:
- ノボリンN注フレックスペン
- ヒューマリンN注ミリオペン/イーライリーペン
かつては基礎インスリン補充の主流でしたが、作用時間にばらつきが少なく安定している持効型溶解インスリンが開発されて以降、使用は減少しています。
持効型溶解インスリンの種類と特徴
持効型溶解インスリンは、注射後ゆっくりと吸収され、ほぼ一日を通して安定した効果を持続させる製剤です。
基礎インスリンを補充する目的で使用され、1日1回注射することで、食事とは関係なく常に必要なインスリン量を供給します。
- 作用発現時間: 注射後約1~4時間(製剤による)
- 作用持続時間: 約24時間またはそれ以上
- 主な特徴:
- 作用にピークがなく、一日中比較的安定した効果が得られる。
- 基礎インスリンの補充に最も適している。
- 1日1回の注射で済むことが多く、利便性が高い。
- 中間型インスリンに比べて作用のばらつきが少ないため、低血糖のリスクが低いとされる。
- 代表的な製剤:
- ランタス注ソロスター
- レベミル注フレックスペン
- トレシーバ注フレックスタッチ
ランタスとレベミルは作用持続時間が約24時間ですが、トレシーバは製剤の特性により作用持続時間が42時間以上とさらに長いのが特徴です。
これにより、注射時間の多少のずれにも対応しやすくなっています。
これらの持効型溶解インスリンは、基礎インスリンとして現在最も広く使用されています。
混合型インスリンの種類と特徴
混合型インスリンは、速効型または超速効型インスリンと、中間型インスリンがあらかじめ決められた比率で混合されている製剤です。
1本の注射で、食後の血糖上昇を抑える効果(速効型/超速効型成分)と、基礎インスリンを補う効果(中間型成分)の両方を得ることができます。
通常、朝食前と夕食前の1日2回注射します。
- 成分: 速効型または超速効型インスリン + 中間型インスリン
- 主な特徴:
- 1本の注射で食後血糖と基礎血糖の両方に対応できる。
- 注射回数を減らせるため、利便性が高い。
- 混合比率が決まっているため、個々の血糖パターンに合わせた細かな調整は難しい。
- 代表的な製剤:
- ノボラピッド30ミックス注フレックスペン/イージータッチ (超速効型30% + 中間型70%)
- ヒューマログミックス25注ミリオペン (超速効型25% + 中間型75%)
- ヒューマログミックス50注ミリオペン (超速効型50% + 中間型50%)
- ノボリン30R注フレックスペン (速効型30% + 中間型70%)
混合型インスリンは、比較的規則正しい生活を送っている方や、注射回数を少なくしたい方に適しています。
配合溶解型インスリンの種類と特徴
配合溶解型インスリンは、超速効型インスリンと持効型溶解インスリンがあらかじめ決められた比率で混合されている新しいタイプの製剤です。
混合型インスリンと同様に、1本の注射で食後の血糖上昇を抑える効果(超速効型成分)と、基礎インスリンを補う効果(持効型溶解成分)の両方を得られます。
混合型インスリンとの違いは、基礎インスリン成分が中間型ではなく持効型溶解インスリンである点です。
- 成分: 超速効型インスリン + 持効型溶解インスリン
- 主な特徴:
- 1本の注射で食後血糖と安定した基礎血糖の両方に対応できる。
- 混合型に比べて、基礎インスリン効果がより安定している。
- 注射回数を減らせる。
- 代表的な製剤:
- ライゾデグ配合注フレックスタッチ (超速効型50% + 持効型溶解型50%)
ライゾデグは、ノボラピッドとトレシーバが混合された製剤です。
混合型インスリンよりも安定した基礎インスリン効果を求める場合などに選択肢となります。
インスリン注射の種類一覧・早見表
これまでに紹介したインスリン製剤の種類を、作用時間と代表的な製剤でまとめた表は以下のようになります。
分類 | 作用発現時間(注射後) | 作用持続時間 | 代表的な製剤例 | 主な使用目的 |
---|---|---|---|---|
超速効型 | 約5~15分 | 約3~5時間 | ノボラピッド、ヒューマログ、ルムジェブ | 食後血糖の急激な上昇抑制 |
速効型 | 約30分~1時間 | 約5~8時間 | ノボリンR、ヒューマリンR | 食後血糖上昇の抑制(超速効型より緩やか) |
中間型 | 約1~3時間 | 約18~24時間 | ノボリンN、ヒューマリンN | 食事以外の時間帯の基礎インスリン補充 |
持効型溶解型 | 約1~4時間 | 約24時間以上 | ランタス、レベミル、トレシーバ | 一日を通して安定した基礎インスリン補充 |
混合型 | 超速効/速効型の発現時間 | 超速効/速効型 + 中間型の持続時間 | ノボラピッド30ミックス、ヒューマログミックス25/50、ノボリン30R | 食後血糖と基礎血糖の両方に対応(1日1-2回) |
配合溶解型 | 超速効型の発現時間 | 超速効型 + 持効型溶解型の持続時間 | ライゾデグ配合注 | 食後血糖と安定した基礎血糖の両方に対応(1日1-2回) |
この表はあくまで一般的な目安です。
個々の体質や状態によって作用時間は変動する可能性があります。
よく使われるインスリン製剤の例
現在、日本の糖尿病治療でよく使われているインスリン製剤は多岐にわたります。
その中でも、特に使用頻度が高い製剤の例と、その特徴をいくつかご紹介します。
- 超速効型: ノボラピッド、ヒューマログ、ルムジェブ
- 食事に合わせて打つ「追加インスリン」として使われます。食事の量や炭水化物の量に応じて投与量を調整することが多いです。
- 持効型溶解型: ランタス、トレシーバ、レベミル
- 一日一回の注射で基礎的なインスリン需要をまかなう「基礎インスリン」として使われます。投与量は比較的固定されていることが多いですが、活動量や病状の変化に応じて調整が必要です。
- 配合溶解型: ライゾデグ
- 超速効型と持効型溶解型が混ざっているため、注射回数を減らしたい場合に使われます。例えば、朝食前と夕食前の2回注射することで、一日を通しての血糖コントロールを目指します。
トレシーバとノボラピッドの違い
「トレシーバ」と「ノボラピッド」は、どちらも糖尿病治療に使われるインスリン製剤ですが、その種類と役割は全く異なります。
- トレシーバ: 持効型溶解インスリン(基礎インスリン)
- 特徴:作用発現はゆっくりで、効果が42時間以上持続します。作用のピークがなく、一日を通して安定した基礎インスリンを補充します。
- 使用目的:食事に関係なく、一日を通して必要な基礎インスリンを補うため。主に就寝前や朝に1回注射します。
- ノボラピッド: 超速効型インスリン(追加インスリン)
- 特徴:作用発現が早く、効果の持続時間は約3~5時間です。食事の開始と同時に作用し始め、食後血糖の上昇を抑えます。
- 使用目的:食事による血糖の上昇を抑えるため。主に毎食直前または食事開始と同時に注射します。
例えるなら、トレシーバは「一日中じんわり燃え続ける暖房」のように体の基本的なエネルギー需要を支え、ノボラピッドは「食事のたびにスイッチを入れるスポットヒーター」のように食後の急な血糖上昇に対応する、といったイメージです。
両者は組み合わせて使われることが多くあります。
例えば、1型糖尿病の方や、2型糖尿病で高度なインスリン療法が必要な場合は、トレシーバで基礎インスリンを補充しつつ、毎食前にノボラピッドを注射する「強化インスリン療法」が行われます。
これは、健康な人のインスリン分泌パターン(常に少量分泌+食事で追加分泌)を最も忠実に再現できる方法とされています。
インスリン製剤の使い分け
インスリン製剤の使い分けは、患者さんの糖尿病の種類(1型か2型か)、病状、血糖コントロールの目標、生活スタイル、年齢、合併症の有無など、様々な要因を考慮して医師が決定します。
- 1型糖尿病: 自己免疫疾患などにより、膵臓からのインスリン分泌がほぼ完全に停止している状態です。
そのため、基礎インスリンと追加インスリンの両方を外部から補う必要があり、多くの場合、持効型溶解インスリン(または中間型)と超速効型インスリンを組み合わせて使用する「強化インスリン療法」が行われます。 - 2型糖尿病: インスリン分泌が不足したり、インスリンが効きにくくなったりする状態です。
最初は飲み薬などで治療を開始しますが、効果が不十分な場合、インスリン療法が導入されます。
- 基礎インスリンの補充: まず持効型溶解インスリン(または中間型)を1日1回注射し、基礎インスリンを補う方法が一般的です。
これは「BOT療法(Basal Supported Oral Therapy)」と呼ばれ、飲み薬と併用されることが多いです。 - 混合型または配合溶解型インスリン: 注射回数を少なくしたい場合や、食後血糖と基礎血糖の両方にアプローチしたい場合に選択されます。
1日1回または2回注射します。 - 強化インスリン療法: 経口薬やGLP-1受容体作動薬、基礎インスリンだけでは血糖コントロールが難しい場合、1型糖尿病と同様に基礎インスリンと毎食前の追加インスリンを組み合わせる強化インスリン療法が導入されることがあります。
- 基礎インスリンの補充: まず持効型溶解インスリン(または中間型)を1日1回注射し、基礎インスリンを補う方法が一般的です。
その他、妊娠糖尿病や高齢者の糖尿病、入院中の血糖管理など、病状や状況に応じて最適なインスリンの種類や投与方法が選択されます。
重要なのは、どのインスリン製剤を使用するか、1日に何回、いつ、どれくらいの量を注射するかは、必ず医師や医療スタッフの指導のもとで決定することです。
自己判断で種類や量を変更することは、血糖コントロールを悪化させたり、低血糖や高血糖といった危険な状態を引き起こしたりする可能性があります。
インスリン注射の種類に関するよくある質問(Q&A)
インスリンの注射にはどんな種類がありますか?
インスリン注射には、効果があらわれるまでの時間や持続時間によって、主に以下の6つの種類があります。
- 超速効型インスリン: 注射後すぐに効き始め、短時間で効果がなくなります。
食後の血糖上昇を抑えるのに使われます。 - 速効型インスリン: 超速効型よりやや遅れて効き始め、効果が続きます。
これも食後血糖のために使われますが、超速効型が主流になっています。 - 中間型インスリン: 注射後しばらくしてから効き始め、比較的長時間効果が続きます。
基礎インスリンとして使われることがありますが、現在は持効型溶解型が主流です。 - 持効型溶解インスリン: 注射後ゆっくり吸収され、一日中安定した効果が持続します。
基礎インスリンとして最も広く使われています。 - 混合型インスリン: 速効型または超速効型と中間型があらかじめ混ざっています。
1本で食後と基礎の両方に対応できます。 - 配合溶解型インスリン: 超速効型と持効型溶解型があらかじめ混ざっています。
これも1本で食後と安定した基礎の両方に対応できます。
これらのインスリンの種類は、患者さんの状態に合わせて医師が選びます。
ノボラピッドは1日何回注射しますか?
ノボラピッドは超速効型インスリンですので、主に毎食の直前(または食事開始と同時)に注射します。
1日3食を摂る方であれば、通常は朝食前、昼食前、夕食前の合計3回注射することになります。
ただし、食事を抜く場合はその分のノボラピッドは注射しません。
また、おやつなどによっても血糖値が大きく上がる場合は、その前に注射することもあります。
ノボラピッドは食事による血糖上昇を抑えるための「追加インスリン」なので、食事のタイミングと内容に合わせて投与量を調整することが重要です。
投与回数や量は、必ず医師の指示に従ってください。
どのインスリンが私に合っていますか?
どのインスリンが最適かは、糖尿病の種類(1型か2型か)、現在の血糖コントロールの状態、生活リズム(食事時間、仕事、活動量など)、年齢、合併症の有無、他の治療薬との併用など、多くの要因によって決まります。
自己判断で決めることは絶対にせず、必ず医師と相談してください。
医師が、あなたの病状や生活スタイルを詳しく把握した上で、最も適したインスリンの種類と投与方法を提案してくれます。
インスリン注射は痛いですか?
最近のインスリン注射は、非常に細い針を使用しているため、痛みはほとんど感じないか、ごくわずかであることが多いです。
針を刺す部位や角度、力の入れ方など、正しい手技で行えば痛みは最小限に抑えられます。
また、注射器やペン型注入器も改良が進んでおり、より簡単に、より痛みが少なく注射できるようになっています。
初めてで不安な場合は、医療スタッフに注射の練習を見てもらうことができます。
インスリン注射を打ち忘れた場合はどうすればいいですか?
インスリンの種類によって対応が異なりますが、まずは落ち着いて、必ず医師または医療スタッフに相談してください。
自己判断で追加で注射したり、次にまとめて注射したりすると、低血糖などの危険な状態を引き起こす可能性があります。
- 超速効型/速効型(食前注射): 食事の直前または食後すぐに気づいた場合は、すぐに注射することが多いです。
ただし、食事を終えてから時間がかなり経ってしまった場合は、注射しない方が良いこともあります。 - 中間型/持効型溶解型(基礎インスリン): 打ち忘れに気づいた時間や、普段注射している時間からの経過時間によって対応が異なります。
翌日の注射まで待つ場合や、少量だけ注射する場合など様々です。
いずれの場合も、必ず専門家(医師や薬剤師、看護師)の指示を仰いでください。
インスリン注射は依存性がありますか?
インスリンは、体内で血糖値を下げるために作られているホルモンそのものです。
インスリン療法は、体内で不足しているホルモンを補う治療であり、麻薬のような精神的な依存性や、体がインスリンなしではいられなくなる肉体的な依存性は全くありません。
糖尿病の種類や病状によっては、生涯にわたってインスリン注射が必要となることがありますが、これは病気の状態を良好に保つために必要な治療であり、「依存」とは性質が異なります。
インスリン注射で太ることはありますか?
インスリンは血糖を細胞に取り込ませる働きがあるため、インスリン療法を開始すると血糖値が下がり、体内で糖が利用されやすくなります。
また、インスリンには脂肪を蓄える働きもあるため、血糖コントロールが改善する過程で、体重が増加する可能性があります。
特に、高血糖が続いていた状態から血糖値が正常に近づくと、その傾向が見られることがあります。
しかし、これはインスリンが効いている証拠でもあります。
適切な食事療法や運動療法を行うことで、体重増加を最小限に抑えることが可能です。
もし体重増加が気になる場合は、医師や管理栄養士に相談しましょう。
インスリンの保管方法は?
インスリン製剤は温度変化に非常に敏感です。
- 未開封のインスリン: 冷蔵庫(2~8℃)で保管します。
凍結させたり、高温になったりする場所での保管は避けてください。
使用期限を確認しましょう。 - 開封後/使用中のインスリン: 室温(1~30℃)で保管可能です。
冷蔵庫に入れる必要はありませんが、直射日光や高温になる場所(車のダッシュボードなど)は避けましょう。
開封後の使用期限(多くは4週間)を守って使用してください。
旅行などで持ち運ぶ際は、専用のケースなどに入れると安心です。
まとめ:適切なインスリンの種類選択のために
インスリン注射には、効果があらわれる時間や持続時間によって様々な種類があります。
超速効型、速効型、中間型、持効型溶解型、混合型、配合溶解型といった分類があり、それぞれが異なる役割を担っています。
これらの多様なインスリン製剤を、患者さんの病状、生活スタイル、治療目標に合わせて適切に選択し、組み合わせることで、より良い血糖コントロールを目指すことができます。
インスリン療法の成功には、正しい種類のインスリンを、正しい量で、正しいタイミングに、正しい方法で注射することが不可欠です。
しかし、どのインスリンがご自身にとって最も適しているのか、どのように使用すれば良いのかは、糖尿病の専門知識を持つ医師にしか判断できません。
インスリン療法について疑問や不安がある場合、あるいは現在の治療で気になることがある場合は、遠慮なく主治医や医療スタッフに相談してください。
あなたの体の状態を最もよく理解している医療チームが、最適なインスリンの種類や使用方法について丁寧に説明し、サポートしてくれるはずです。
自己判断でのインスリンの種類や量の変更は、必ず避けましょう。
医師との密なコミュニケーションが、安全で効果的なインスリン療法を行うための第一歩です。
【免責事項】
本記事は、インスリン注射の種類に関する一般的な情報提供を目的としており、特定の治療法や製剤を推奨するものではありません。
また、個々の患者さんの病状や治療法は多様であり、本記事の情報が全ての方に当てはまるわけではありません。
糖尿病の治療に関する決定は、必ず医師の診断と指導に基づいて行ってください。
本記事の情報によって生じたいかなる結果についても、当方は一切の責任を負いません。