メニュー

境界型糖尿病(予備群)と診断されたら?知っておくべき対策とリスク

[2025.06.29]

健康診断で「血糖値が少し高めですね」「境界型糖尿病の疑いがあります」と言われて、不安を感じている方もいるかもしれません。
境界型糖尿病とは、正常な状態と糖尿病の間にある段階を指します。
この段階では自覚症状がほとんどないことが多く、気づかないうちに進行してしまうケースも少なくありません。

しかし、境界型糖尿病は、その後の健康に大きく影響する重要なサインです。
この段階で適切な対策を講じることで、糖尿病への進行を防ぎ、将来的な合併症のリスクを減らすことが可能です。

この記事では、境界型糖尿病の詳しい状態や診断基準、原因、そして最も重要な改善・予防策について、分かりやすく解説します。
特に「痩せ型でもなるのか」「放置するとどうなるのか」といった疑問にもお答えします。
ご自身の健康状態を正しく理解し、前向きな一歩を踏み出すための参考にしてください。

境界型糖尿病の状態を知る

境界型糖尿病とは、文字通り「正常型」と「糖尿病」の間に位置する、どちらとも断定できない予備的な段階です。
医学的には「糖尿病予備群」や「耐糖能異常(たいとうのういじょう)」と呼ばれることもあります。

体内で糖の代謝がうまくいかなくなり始めている状態ですが、まだ本格的な糖尿病と診断されるほどではありません。
しかし、血糖値が高い状態が続いているため、このまま放置すると将来的に糖尿病へ進行するリスクが非常に高いとされています。

なぜこのような状態になるのでしょうか。
私たちの体は、食事から摂ったブドウ糖をエネルギーとして利用するために、膵臓から分泌されるインスリンというホルモンを使います。
インスリンは、血液中のブドウ糖(血糖)を細胞に取り込ませたり、肝臓でブドウ糖が作られるのを抑えたりする働きがあります。

境界型糖尿病の状態では、このインスリンの働きが十分でなかったり、インスリンは分泌されていても細胞がうまく反応しなかったり(インスリン抵抗性といいます)することが考えられます。
その結果、食後に血糖値がうまく下がらない、あるいは空腹時でも血糖値が少し高いまま、という状態が起こります。

この段階では、まだ多くの人がこれといった自覚症状を感じません。
しかし、体の中では少しずつ血管に負担がかかり始めています。
そのため、境界型糖尿病は「サイレントキラー(静かなる殺人者)」と呼ばれることもあります。
早期に発見し、生活習慣を見直すことが非常に大切なのです。

境界型糖尿病の診断基準

境界型糖尿病の診断は、主に血液検査で行われます。
基準となる項目は、「空腹時血糖値」と「HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)」、そして「75g経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)」の結果です。

これらの検査結果によって、血糖の状態が「正常型」「境界型」「糖尿病型」のいずれかに分類されます。

検査項目 正常型 境界型 糖尿病型
空腹時血糖値 100mg/dL未満 100mg/dL以上 126mg/dL未満 126mg/dL以上
HbA1c 5.6%未満 5.6%以上 6.5%未満 6.5%以上
75gOGTT 2時間値 140mg/dL未満 140mg/dL以上 200mg/dL未満 200mg/dL以上

診断基準の組み合わせはいくつかありますが、代表的なパターンは以下の通りです。

  1. 空腹時血糖値が100mg/dL以上126mg/dL未満の場合
  2. 75gOGTTを行い、ブドウ糖摂取2時間後の血糖値が140mg/dL以上200mg/dL未満の場合
  3. 空腹時血糖値が正常型(100mg/dL未満)でも、75gOGTT 2時間値が140mg/dL以上200mg/dL未満の場合

これらの基準に加えて、HbA1cも参考にされます。
HbA1cは過去1~2ヶ月の血糖値の平均を反映する指標であり、境界型糖尿病の場合、HbA1cが5.6%以上6.5%未満であることが多いです。

ただし、診断には医師による総合的な判断が必要です。
特に、健康診断などで基準値を少し超えた場合は、精密検査として75gOGTTが推奨されることがあります。
これは、空腹時血糖値だけでは分からない食後の血糖値の変動を詳しく調べるためです。

重要なのは、これらの検査結果が境界型糖尿病を示した場合、「まだ大丈夫」と楽観視せず、「糖尿病になる可能性があるサイン」として真剣に受け止めることです。
早期に自分の血糖状態を知り、対策を始めることが、将来の健康を守るための第一歩となります。

境界型糖尿病はなぜ重要視されるのか

糖尿病への進行リスク

境界型糖尿病の状態にある人は、正常な血糖値の人に比べて、将来的に2型糖尿病へ移行するリスクが非常に高いことが明らかになっています。

研究によると、境界型糖尿病と診断された人が、特別な対策をせずにそのまま過ごした場合、年間で約5%~10%の人が糖尿病に進行するとされています。
つまり、10年間で半数以上、あるいはそれ以上の人が糖尿病になってしまう計算です。
これは、正常な血糖値の人に比べて、圧倒的に高い確率です。

なぜ進行しやすいのでしょうか。
境界型糖尿病は、インスリンの働きが低下したり、インスリンが十分に分泌されなくなったりし始めている状態です。
この状態が続くと、膵臓のインスリンを分泌する能力がさらに低下したり、インスリン抵抗性がさらに悪化したりして、やがて血糖値を正常に保つことが完全に難しくなってしまいます。
これが糖尿病への移行です。

一度糖尿病と診断されると、「完治」という概念が難しくなり、生涯にわたる血糖コントロールが必要となることがほとんどです。
薬物療法が必要になる可能性も高まります。

しかし、境界型糖尿病の段階であれば、適切な生活習慣の改善によって、糖尿病への進行を高い確率で防ぐ、あるいは遅らせることが可能です。
これこそが、境界型糖尿病を早期に発見し、対策を始めることの最大の意義と言えます。
この段階は、いわば「健康な状態に戻れるラストチャンス」なのです。

合併症のリスクも存在する

「まだ糖尿病ではないから大丈夫」と考えてはいけません。
境界型糖尿病の段階でも、すでに体内の血管には負担がかかり始めており、糖尿病と同様の合併症を発症するリスクがあることが分かっています。

糖尿病の合併症と聞くと、視力障害(糖尿病網膜症)、腎臓病(糖尿病腎症)、神経障害(糖尿病神経障害)といった「細小血管合併症」を思い浮かべる人が多いかもしれません。
確かに、これらの合併症は主に高血糖が長期間続いた結果として起こります。
境界型糖尿病の段階では、まだこれらの合併症が顕著に現れることは少ないです。

しかし、心筋梗塞や脳卒中といった「大血管合併症」のリスクは、境界型糖尿病の段階から上昇することが明らかになっています。
これらの病気は、動脈硬化が原因で起こります。
血糖値が高い状態が続くと、血管の内壁が傷つきやすく、コレステロールなどが蓄積して動脈硬化が進行しやすくなるのです。

実際、境界型糖尿病の人は、正常な血糖値の人に比べて、心血管疾患による死亡リスクが約1.5倍高まるとする研究結果もあります。
これは、血糖値だけでなく、境界型糖尿病を持つ多くの人が抱える他のリスク因子(肥満、高血圧、脂質異常症など)も影響していると考えられます。

つまり、境界型糖尿病は、単に血糖値が高いだけでなく、全身の血管に障害が起こり始めているサインでもあるのです。
将来の深刻な病気を防ぐためにも、この段階で真剣に健康管理に取り組むことが極めて重要視されています。

境界型糖尿病の主な原因とリスク因子

境界型糖尿病になる原因は一つではありません。
いくつかの要因が複雑に絡み合って発症することが多いです。
主な原因やリスク因子としては、体質的なもの(遺伝)と後天的なもの(生活習慣)が挙げられます。
また、最近では「痩せ型でもなる」というケースも注目されています。

インスリン抵抗性とその影響

境界型糖尿病の最も大きな原因の一つに、「インスリン抵抗性」があります。

インスリン抵抗性とは、膵臓からインスリンが分泌されても、体の細胞(特に筋肉、脂肪、肝臓など)がインスリンの指示通りにブドウ糖を取り込めず、血糖値が下がりにくくなる状態です。
例えるなら、インスリンという鍵があるのに、細胞のドア(受容体)の鍵穴がさびついていて、うまく開かないようなものです。

インスリン抵抗性が起こる主な理由として、以下のものがあります。

  • 内臓脂肪の蓄積: 特に内臓脂肪が増えると、脂肪細胞からインスリンの働きを妨げる物質が分泌され、インスリン抵抗性を引き起こしやすくなります。
  • 運動不足: 筋肉はブドウ糖をエネルギーとして大量に消費しますが、運動不足で筋肉量が減ったり、筋肉の活動が低下したりすると、ブドウ糖の取り込みが悪くなりインスリン抵抗性が生じます。
  • 不規則な食生活: 高カロリー・高脂肪の食事や、血糖値を急激に上げるような糖分の多い食事を頻繁に摂ると、インスリンが過剰に分泌され続け、細胞がインスリンに慣れて反応しにくくなることがあります。
  • 睡眠不足やストレス: これらの要因もホルモンバランスを崩し、インスリン抵抗性を高めることが指摘されています。

インスリン抵抗性が高まると、体は何とか血糖値を下げようとして、膵臓がインスリンをたくさん分泌します。
この状態が続くと、最初は血糖値は正常範囲に保たれますが、膵臓が疲弊してインスリンを十分に分泌できなくなり、やがて血糖値が正常に保てなくなり、境界型糖尿病糖尿病へと進行してしまうのです。

遺伝と生活習慣の関連

境界型糖尿病2型糖尿病は、遺伝的な体質と生活習慣の両方が大きく関わって発症します。

家族に糖尿病の人がいる場合、そうでない人に比べて糖尿病になるリスクが高いことが知られています。
これは、インスリンの分泌能力やインスリン抵抗性のなりやすさといった体質が遺伝によって受け継がれることがあるためです。
特に、両親ともに糖尿病の場合は、そのリスクはさらに高まります。

しかし、遺伝だけで必ずしも糖尿病になるわけではありません。
遺伝的な素因があっても、良好な生活習慣を送ることで、糖尿病の発症を遅らせたり、予防したりすることが十分に可能です。

逆に、遺伝的なリスクが低くても、不健康な生活習慣を続けていれば、糖尿病になってしまう可能性は高まります。
具体的には、以下のような生活習慣がリスクを高めます。

  • 過食や不規則な食事: 特に加工食品、清涼飲料水、脂っこい食事、食物繊維の少ない食事など。
  • 運動不足: 座りっぱなしの生活や、運動習慣がないこと。
  • 肥満: 特に内臓脂肪型肥満。
  • 喫煙: 血管を傷つけ、インスリン抵抗性を高めます。
  • 過度な飲酒: 血糖値に影響を与え、カロリー過多になりやすいです。
  • 睡眠不足や不規則な睡眠: ホルモンバランスに影響し、血糖コントロールを乱します。
  • 強いストレス: ストレスホルモンが血糖値を上げる作用を持ちます。

つまり、境界型糖尿病になるかどうかは、「遺伝という畑に、どんな生活習慣という種をまくか」によって大きく変わると言えます。
遺伝的なリスクを把握しつつ、生活習慣の改善に意識的に取り組むことが非常に重要です。

痩せ型でも境界型糖尿病になる可能性

境界型糖尿病2型糖尿病と聞くと、「太っている人がなる病気」というイメージを持つ方が多いかもしれません。
確かに、肥満、特に内臓脂肪型肥満は大きなリスク因子です。

しかし、実際には痩せている人や標準体型の人でも、境界型糖尿病になる可能性は十分にあります
これは、日本を含むアジア人に比較的多く見られる特徴の一つです。

痩せ型の人が境界型糖尿病になる主な原因は、肥満の人とは少し異なります。
痩せ型の人では、インスリン抵抗性がそれほど強くなくても、インスリンを分泌する能力(インスリン分泌能)が遺伝的に低い、あるいは生活習慣の乱れによって膵臓の機能が低下してしまっているケースが多いと考えられています。

特に、以下のような要因が関わることがあります。

  • 遺伝的な体質: インスリン分泌能が低い体質を受け継いでいる場合。
  • 偏った食事: 一見痩せていても、糖質に偏った食事や不規則な食事を続けている場合。必要な栄養素が不足している可能性もあります。
  • 運動不足: 痩せていても筋肉量が少なく、運動習慣がない場合、インスリンの働きが悪くなることがあります。
  • 過度なダイエットや摂食障害の既往: 食事のバランスを崩したり、栄養不足になったりすることで、インスリン分泌能に影響が出る可能性があります。
  • ストレスや睡眠不足: これらは体型に関わらず、血糖コントロールを乱す要因となります。

痩せ型だからといって安心してはいけません。
「自分は大丈夫」と思い込み、健康診断を受けなかったり、異常を指摘されても放置したりすると、気づかないうちに糖尿病へ進行してしまうリスクがあります。

痩せ型でも、家族に糖尿病の人がいる、不規則な生活を送っている、最近体重が減ったのに血糖値が高いと言われた、といった場合は注意が必要です。
体型に関わらず、定期的な健康診断を受け、必要に応じて精密検査を受けることが大切です。

境界型糖尿病に自覚症状はある?

境界型糖尿病の最も厄介な点の一つは、多くの場合、これといった自覚症状がないことです。
そのため、知らない間に進行しているケースが少なくありません。

症状がほとんどない場合

境界型糖尿病の段階では、血糖値の上昇がまだそれほど著しくないため、体は高血糖に対する顕著なサインを発しません。

血糖値が高くなると、一般的に以下のような症状が現れることがあります。

  • 喉が渇きやすい
  • 尿の量が増える、回数が増える
  • 疲れやすい、だるい
  • 体重が減る(特に急激な場合)
  • 手足がしびれる
  • 目がかすむ

しかし、これらの症状は通常、糖尿病と診断されるほど血糖値が高くなった段階で現れることが多いです。
境界型糖尿病の段階では、体がまだ血糖値の上昇に対応できているか、あるいは高血糖の状態に慣れてしまっているため、これらの典型的な症状はほとんど感じられません。

そのため、境界型糖尿病は「サイレントキラー(静かなる殺人者)」と呼ばれることがあります。
症状がないために病気に気づかず、対策をしないまま過ごしてしまうと、気づいた時には糖尿病に進行していた、あるいは合併症が進んでいた、という事態になりかねません。

自覚症状がないからといって「健康だ」と判断するのは危険です。
特に、糖尿病のリスク因子(肥満、家族歴、高血圧、脂質異常症など)がある場合は、症状がなくても積極的に検査を受けることが重要です。

注意すべきサイン

多くの場合、自覚症状がない境界型糖尿病ですが、ごくまれに、あるいは注意深く自分の体調を観察していると、わずかな変化に気づくことがあります。
もし、以下のようなサインに心当たりがある場合は、念のため医療機関に相談してみることをお勧めします。
ただし、これらの症状が必ずしも境界型糖尿病によるものとは限らず、他の原因である可能性もあります。

  • 食後の眠気やだるさが以前より強い
    食後に血糖値が急上昇し、それを下げるためにインスリンが大量に分泌されると、一時的に血糖値が下がりすぎて眠気やだるさを感じることがあります(反応性低血糖)。境界型糖尿病では、インスリンの分泌タイミングやバランスが乱れていることがあり、食後の血糖値の変動が大きくなることでこのような症状が出ることがあります。
  • 空腹感が強い、甘いものが無性に欲しくなる
    血糖値のコントロールが不安定になり、食後しばらくして血糖値が急激に下がると、体がエネルギー不足を感じて強い空腹感や甘いものへの欲求を感じることがあります。
  • 体重の変化(特に理由のない減少)
    これは糖尿病に近い状態になった場合に顕著ですが、インスリンの働きが悪くなると、体がブドウ糖をエネルギーとしてうまく利用できなくなり、代わりに脂肪や筋肉を分解してエネルギーを得ようとするため、体重が減少することがあります。理由もなく体重が減る場合は注意が必要です。
  • 傷が治りにくい
    高血糖は血行を悪くし、免疫機能も低下させるため、傷が治りにくくなることがあります。これも主に糖尿病期に見られる症状ですが、境界型糖尿病の段階でもごく初期の兆候として現れる可能性はゼロではありません。

繰り返しになりますが、これらの症状は境界型糖尿病に特有のものではなく、他の原因でも起こり得ます。
しかし、もし心当たりがあり、かつ健康診断で血糖値の異常を指摘されたことがある、あるいは糖尿病の家族歴があるといった場合は、一度医療機関で相談し、詳しい検査を受けることをお勧めします。

境界型糖尿病の発見は、症状に頼るのではなく、定期的な健康診断や人間ドックが基本です。
特に40歳を過ぎたら、毎年血糖値やHbA1cをチェックすることが重要です。

境界型糖尿病の検査と診断プロセス

境界型糖尿病を正確に診断するためには、いくつかの検査が必要です。
特に重要なのは、健康診断での血糖値チェックと、必要に応じて行われる精密検査です。

健康診断でのチェック項目

多くの人が境界型糖尿病の可能性を初めて指摘されるのは、会社の健康診断や自治体の住民健診です。
健康診断で主にチェックされる項目は以下の通りです。

  • 空腹時血糖値: 検査前日の夜から、検査まで食事を摂らずに測定した血糖値です。先述の診断基準で、100mg/dL以上126mg/dL未満であれば境界型、126mg/dL以上であれば糖尿病型が疑われます。
  • HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー): 過去1~2ヶ月間の血糖値の平均的な状態を示す指標です。5.6%以上6.5%未満であれば境界型、6.5%以上であれば糖尿病型が疑われます。

健康診断でこれらの項目のいずれかが基準値を超えていた場合、「要精密検査」や「医療機関受診を推奨」といった指示を受けることがあります。
これは、境界型糖尿病や糖尿病の可能性があるため、より詳しい検査を受けて正確な診断をしてもらう必要があるということです。

健康診断の結果を受け取ったら、必ず内容を確認しましょう。
もし血糖関連の項目に異常が指摘されていたら、放置せずに速やかに医療機関を受診することが非常に重要です。
この段階での受診が、その後の健康を大きく左右します。

「少し高いだけだから大丈夫だろう」「去年も高かったけど何も言われなかったし」と自己判断せず、専門家の意見を仰ぎましょう。
健康診断は、病気の早期発見のための貴重な機会です。

専門医療機関での精密検査

健康診断で境界型糖尿病や糖尿病が疑われた場合、通常は内科や糖尿病専門医のいる医療機関を受診します。
そこで行われる精密検査の中心となるのが、「75g経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)」です。

75gOGTTは、診断基準の表でも触れましたが、ブドウ糖を摂取した後の血糖値の変動を詳しく調べる検査です。
検査は以下のような流れで行われます。

  1. 検査前の準備: 検査前日の夕食後は絶食し、検査当日の朝も何も食べずに来院します。水は少量であれば飲んで構いません。普段飲んでいる薬がある場合は、医師に相談して指示を仰ぎます。
  2. 採血(1回目): まず、空腹時の血糖値とインスリン値を測定するために採血を行います。
  3. ブドウ糖液の摂取: 75gのブドウ糖が含まれた甘い飲み物を飲みます。
  4. 採血(2回目、3回目): ブドウ糖液を飲んでから、30分後、60分後、120分後(2時間後)に再び採血を行います。通常は2時間後の血糖値が診断に用いられますが、インスリン抵抗性などを詳しく調べるために、複数回採血を行うことが多いです。
  5. 検査中の注意: 検査中は、飲食、喫煙、激しい運動は避け、安静にして過ごします。

75gOGTTの結果、特にブドウ糖摂取2時間後の血糖値が140mg/dL以上200mg/dL未満であれば、境界型糖尿病と診断されます。
200mg/dL以上の場合は糖尿病型となります。

この検査によって、空腹時血糖値だけでは見逃されがちな「食後の血糖値の急激な上昇」や「血糖値がなかなか下がらない状態」が明らかになります。
これにより、インスリンの分泌能力やインスリン抵抗性の状態をより正確に把握し、境界型糖尿病の診断を確定させることができます。

精密検査を受けることで、ご自身の体の状態を正確に知り、今後の対策をどのように進めるべきか、医師から具体的なアドバイスを受けることができます。
不安を抱えたままにせず、勇気を出して専門医を受診しましょう。

境界型糖尿病を改善・予防するための対策

境界型糖尿病と診断されたら、あるいはそのリスクが高いと指摘されたら、落ち込む必要はありません。
この段階は、生活習慣を見直すことで血糖値を正常に近づけ、糖尿病への進行や合併症を防ぐことができる「チャンス」です。
最も効果的な対策は、食事療法運動療法、そして生活習慣全体の改善です。

食事療法の基本ポイント

食事は、血糖値に直接影響を与える最も重要な要素の一つです。
境界型糖尿病を改善・予防するための食事療法は、厳格な制限ではなく、バランスの取れた健康的な食生活を目指すことが基本です。

具体的なポイントは以下の通りです。

  • 適正なエネルギー摂取: 食べ過ぎは体重増加やインスリン抵抗性を招きます。個々の体格、年齢、活動量に応じた適切な摂取カロリーを知り、守ることが大切です。医師や管理栄養士に相談しましょう。
  • 主食(炭水化物)の質と量: ご飯、パン、麺類などの炭水化物は血糖値を上げる主要な栄養素ですが、抜くのではなく、量と質に注意します。
    • 質: 白米より玄米や雑穀米、白いパンより全粒粉パン、うどんよりそばなど、精製度の低い炭水化物(複合糖質)を選びましょう。これらは食物繊維が豊富で、血糖値の急激な上昇を抑える効果があります。
    • 量: 一度に大量に摂らず、毎食適量にすることを心がけます。
  • 野菜・きのこ・海藻をたっぷり摂る: これらの食品は食物繊維が豊富です。食物繊維は糖の吸収を緩やかにし、食後の血糖値の急上昇を防ぎます。食事の最初に野菜を食べる「ベジファースト」も効果的です。
  • たんぱく質を適切に摂る: 肉、魚、卵、大豆製品などをバランス良く摂りましょう。筋肉量を維持するためにも重要です。ただし、肉類の場合は脂身の少ないものを選びましょう。
  • 脂質の質と量: 脂質の摂りすぎはカロリー過多や動脈硬化のリスクを高めます。
    • 質: 動物性脂肪(肉の脂身、バターなど)より、植物油(オリーブオイル、菜種油など)や魚の油(DHA, EPA)を選びましょう。
    • 量: 揚げ物や炒め物ばかりでなく、蒸す、茹でる、焼くといった調理法を取り入れ、脂質の摂取量を抑えます。
  • 甘い飲み物やお菓子の制限: これらは血糖値を急激に上げやすい食品です。できるだけ控えめにしましょう。間食をする場合は、果物(適量)、ヨーグルト、ナッツ類などがおすすめです。
  • ゆっくりよく噛んで食べる: 食べる速度が速いと血糖値が急激に上がりやすくなります。ゆっくりと時間をかけて食事をすることで、満腹感も得られやすく、食べ過ぎを防げます。
  • 規則正しい時間に食事を摂る: 欠食したり、夜遅くに食事を摂ったりすると、血糖コントロールが乱れやすくなります。一日三食、できるだけ決まった時間に食事をしましょう。

食事療法は、単なる「制限」ではなく、一生続けられる「食習慣の改善」です。
無理なく、楽しみながら取り組むことが成功の鍵です。
困ったときは、医師や管理栄養士に相談して、自分に合った具体的なアドバイスを受けましょう。

効果的な運動療法

運動は、境界型糖尿病の改善・予防に非常に効果的です。
運動によって、筋肉がブドウ糖をエネルギーとして使いやすくなり、インスリンの働き(インスリン感受性)が向上するため、血糖値が下がりやすくなります。
また、運動は体重管理やストレス解消にも役立ち、心血管疾患のリスクも低減します。

境界型糖尿病におすすめの運動療法は、以下の2種類を組み合わせることです。

  1. 有酸素運動:
    • 効果: 血糖値を下げる効果が最も期待できます。筋肉がブドウ糖をエネルギーとして使うことを促進します。体脂肪の減少にも効果的です。
    • 種類: ウォーキング、ジョギング、水泳、サイクリング、ダンスなど、比較的軽い負荷で継続できる運動。
    • 目安:
      • 頻度: 週に3日以上、できれば毎日。
      • 時間: 1回に20分~60分。または、1日に合計で30分以上。
      • 強度: 少し息が弾むけれど、会話ができる程度の「中等度」の強度。脈拍が「100-年齢」から「110-年齢」程度になるのが目安です。
    食後1~2時間後に運動すると、食事で上がった血糖値を下げるのに効果的です。
    エレベーターやエスカレーターを使わずに階段を使う、一駅分歩くなど、日常生活の中に運動を取り入れることも大切です。
  2. レジスタンス運動(筋力トレーニング):
    • 効果: 筋肉量を増やし、基礎代謝を向上させます。筋肉量が多いほど、安静時でもブドウ糖の消費量が増え、インスリン感受性も高まります。
    • 種類: スクワット、腕立て伏せ、腹筋、ダンベル体操など。
    • 目安:
      • 頻度: 週に2~3回。
      • 強度: 各種目の運動を10~15回程度繰り返すのを1セットとし、1~3セット行います。無理のない範囲で始めましょう。

有酸素運動とレジスタンス運動を組み合わせることで、より効果的に血糖コントロールを改善できます。
例えば、週に3回有酸素運動を行い、そのうち2回は有酸素運動の前にレジスタンス運動を行う、といった形です。

運動習慣がない人が急に激しい運動を始めるのは危険です。
まずは無理のない範囲で始め、徐々に時間や強度を上げていきましょう。
体調が悪い日や、血糖値が著しく高い・低い日は運動を控えるようにします。

運動を始める前に、特に心臓病などの持病がある方は、必ず医師に相談してください。
専門家のアドバイスを受けながら、安全かつ効果的に運動療法に取り組みましょう。

生活習慣全体の改善策

境界型糖尿病の改善・予防には、食事療法と運動療法が柱となりますが、それだけでなく、生活習慣全体を見直すことも非常に重要です。

  • 禁煙: 喫煙は血管を傷つけ、インスリン抵抗性を高め、動脈硬化を促進します。糖尿病や心血管疾患のリスクを大幅に上げるため、禁煙は必須の改善策です。自力での禁煙が難しい場合は、禁煙外来などを利用しましょう。
  • 節酒: アルコールの摂りすぎは、血糖コントロールを乱したり、中性脂肪を増やしたりする原因になります。また、アルコール自体が高カロリーであり、おつまみによるカロリー過多も招きやすいです。飲酒量は適量(日本酒なら1合程度、ビールなら大瓶1本程度、ワインならグラス2杯程度)に抑え、週に数日は休肝日を設けるようにしましょう。
  • 十分な睡眠: 睡眠不足や不規則な睡眠は、食欲を増進させるホルモン(グレリン)を増やし、食欲を抑えるホルモン(レプチン)を減らすなど、食行動や血糖コントロールに悪影響を与えます。質の良い睡眠を7~8時間確保することを目指しましょう。
  • ストレス管理: ストレスが多いと、血糖値を上げるホルモン(コルチゾールなど)の分泌が増え、血糖コントロールが乱れやすくなります。自分なりのストレス解消法を見つけ、心身のリラックスを心がけましょう。趣味、軽い運動、瞑想、友人との会話などが有効です。
  • 定期的な健康チェック: 一度境界型糖尿病やそのリスクを指摘されたら、油断せず定期的に医療機関を受診し、血糖値やHbA1cをチェックしてもらいましょう。目標とする血糖値を医師と相談し、その達成状況を確認することがモチベーション維持にもつながります。
  • 体重管理: 特に肥満がある場合は、体重を減らすことがインスリン抵抗性を改善し、血糖コントロールを良くするために非常に効果的です。たとえ数キログラムでも体重を減らすだけで、インスリンの働きが改善されることが分かっています。

これらの生活習慣は、相互に関連しています。
例えば、適度な運動は睡眠の質を高め、ストレス解消にもつながります。
バランスの取れた食事は体重管理を助け、体調を整えます。
一つずつできることから始め、無理なく継続できる習慣を身につけることが大切です。

一人で抱え込まず、家族の協力を得たり、医師や管理栄養士、保健師などの専門家のアドバイスを受けながら取り組むことで、成功の可能性は高まります。

境界型糖尿病は「完治」する?

境界型糖尿病と診断されたとき、「この状態は完全に治るのだろうか?」と疑問に思う方もいるかもしれません。
医学的な視点から見ると、「診断名としての完治」と「血糖値の状態を正常に保つこと」は少し意味が異なります。

診断名の完治と状態の正常化

まず、「診断名としての完治」という観点から言うと、一度境界型糖尿病と診断されたという事実は消えません。
これは、血糖値を正常に保つ機能が、過去に一度は正常範囲を超えていたという体の状態を示すものです。

しかし、重要なのは診断名よりも体の状態です。
境界型糖尿病は、適切な生活習慣の改善によって、血糖値を正常な範囲に戻すことが十分に可能な状態です。

つまり、「診断名は残るかもしれないが、血糖値の状態を正常化させ、健康な人と同じように過ごせるようになる」ということです。

実際に、境界型糖尿病と診断された人が、集中的な食事療法や運動療法に取り組んだ結果、血糖値が正常値に戻り、その後も安定した状態を維持できるケースは少なくありません。
この状態を維持できれば、糖尿病への進行リスクや合併症のリスクを、正常型の人と同程度まで下げることが期待できます。

これは、境界型糖尿病の段階では、まだ膵臓のインスリン分泌能力が完全には失われていない、インスリン抵抗性も改善の余地がある状態だからこそ可能なのです。

正常な状態を目指すことの重要性

境界型糖尿病から血糖値を正常な状態に戻すこと、そしてそれを維持することには、非常に大きな意味があります。

  • 糖尿病への進行を阻止・遅延: 先述の通り、境界型糖尿病から糖尿病へ進行するリスクは高いですが、血糖値を正常化できれば、そのリスクを大幅に低減できます。これにより、生涯にわたる薬物療法が必要になる可能性を減らせます。
  • 合併症リスクの低減: 境界型糖尿病の段階でも進む可能性のある心血管疾患などの合併症リスクを、血糖値を正常化することで抑えることができます。健康寿命を延ばすことにつながります。
  • 健康意識の向上と自信: 自分の力で血糖値をコントロールし、健康な状態を取り戻せたという経験は、その後の健康管理に対するモチベーションを高め、自信につながります。
  • 医療費の削減: 糖尿病やその合併症を発症すると、医療費の負担が増大します。境界型糖尿病の段階で食い止めることは、経済的なメリットも大きいと言えます。

血糖値を正常に保つための努力は、決して「病気を治す」という一時的なものではありません。
それは、「健康な生活を維持するための習慣を身につける」という、一生涯にわたるプロセスです。

もし一時的に血糖値が正常に戻っても、元の不健康な生活習慣に戻ってしまえば、再び境界型糖尿病や糖尿病になってしまう可能性は高いです。
そのため、境界型糖尿病と診断されたことをきっかけに、根本的な生活習慣の改善に取り組み、それを継続していくことが、真の目標となります。

境界型糖尿病は、体からの「このままではいけないよ」という大切なメッセージです。
このメッセージを受け止め、前向きに生活習慣の改善に取り組むことで、健康な未来を手に入れることができます。

境界型糖尿病を放置するリスク

「症状がないから大丈夫」「忙しくて病院に行く暇がない」といった理由で、境界型糖尿病を放置してしまうと、どのようなリスクがあるのでしょうか。
残念ながら、放置することは非常に危険であり、将来的に深刻な健康問題を引き起こす可能性が高まります。

糖尿病への移行確率

境界型糖尿病を放置した場合の最大のリスクは、高い確率で2型糖尿病へ進行することです。

前述のように、境界型糖尿病の人が特別な対策をしない場合、年間約5%~10%の人が糖尿病に進行すると報告されています。
これは、正常な血糖値の人に比べて約10倍のリスクです。
つまり、放置すればするほど、確実に糖尿病への道を進んでいくことになります。

糖尿病になってしまうと、血糖値を正常に戻すことがより難しくなり、食事療法や運動療法だけでは不十分で、飲み薬やインスリン注射といった薬物療法が必要になる可能性が高まります。
薬物療法は、あくまで血糖値をコントロールするためのものであり、病気そのものを「治す」ものではありません。
生涯にわたって治療を続ける必要が出てくることがほとんどです。

糖尿病の治療は、境界型糖尿病の段階での対策に比べて、身体的・精神的・経済的な負担が大きくなります。
放置して糖尿病になってしまうことは、自分自身の生活の質(QOL)を著しく低下させることにつながります。

心血管疾患などの合併症リスク

境界型糖尿病を放置した場合、糖尿病への進行だけでなく、心血管疾患をはじめとする様々な合併症を発症するリスクも高まります。

境界型糖尿病の段階から、すでに体内の血管では動脈硬化が進行し始めていることが知られています。
動脈硬化とは、血管が硬くなり、弾力性を失って、血液の流れが悪くなる状態です。
高血糖に加えて、境界型糖尿病を持つ多くの人が合併しやすい高血圧脂質異常症も動脈硬化を加速させます。

動脈硬化が進行すると、以下のような深刻な病気を引き起こすリスクが高まります。

  • 心筋梗塞: 心臓に血液を送る冠動脈が詰まり、心臓の筋肉が壊死する病気。
  • 脳卒中: 脳の血管が詰まったり(脳梗塞)、破れたり(脳出血、くも膜下出血)して、脳の機能が障害される病気。
  • 末梢動脈疾患: 手足の血管の血行が悪くなり、しびれや痛み、潰瘍などを引き起こす病気。

これらの病気は、命に関わるだけでなく、後遺症が残る可能性も高く、その後の生活に大きな支障をきたすことになります。

また、境界型糖尿病の段階ではまだ顕著ではありませんが、放置して高血糖の状態が長く続けば、糖尿病の3大合併症である糖尿病神経障害糖尿病網膜症糖尿病腎症といった細小血管合併症のリスクも高まります。
これらは、手足のしびれや痛み、失明、腎不全による人工透析が必要になるなど、生活の質を大きく損なう合併症です。

境界型糖尿病を放置することは、「健康な状態に戻れるチャンス」をみすみす逃し、将来の深刻な病気のリスクを自ら高める行為です。
「まだ大丈夫」ではなく、「今すぐ対策を始めるべき」という強い危機感を持つことが、自分自身の健康を守るために非常に重要です。

Q&A:境界型糖尿病についてよくある質問

境界型糖尿病に関して、多くの方が抱く疑問とその回答をまとめました。

Q1:境界型糖尿病はどんな人がなりやすいですか?
A1:境界型糖尿病になりやすい人は、いくつかのリスク因子を持っていることが多いです。主なものとしては、肥満(特に内臓脂肪型肥満)運動不足不規則な食生活(特に過食や偏食)、喫煙過度な飲酒睡眠不足やストレスといった生活習慣の乱れが挙げられます。また、家族に糖尿病の人がいる40歳以上妊娠糖尿病になったことがある女性高血圧や脂質異常症がある、といった方もリスクが高いとされています。ただし、痩せている人でもなることがある点には注意が必要です。

Q2:境界型糖尿病でも生命保険に入れますか?
A2:生命保険の種類や保険会社によって判断が異なります。診断されたばかりで、まだ合併症がなく、医師の指示通りに治療(主に生活習慣改善)を行っている段階であれば、加入できる可能性はあります。しかし、保険料が割増になったり、特定の保障(例えば糖尿病関連の特約など)に制限がかかったりすることが多いです。既に糖尿病に進行している場合や、合併症がある場合は、一般的な生命保険への加入が難しくなることがあります。ただし、最近では持病がある方でも加入しやすい引受基準緩和型や特定疾病保障保険などもありますので、複数の保険会社に相談してみることをお勧めします。重要なのは、告知義務違反にならないよう、健康状態を正直に伝えることです。

Q3:一度境界型と言われたら、もう正常に戻ることはないのでしょうか?
A3:いいえ、そんなことはありません。先述の通り、境界型糖尿病は適切な生活習慣の改善(食事療法と運動療法が中心)によって、血糖値を正常な範囲に戻すことが十分に可能な状態です。実際に多くの人が生活習慣を改善することで血糖値を正常化させています。重要なのは、その後も健康的な生活習慣を継続し、血糖値を安定して維持していくことです。一時的に正常に戻っても、元の生活に戻ると再び血糖値が悪化する可能性があるため、継続的な取り組みが大切です。

Q4:遺伝だから諦めるしかないですか?
A4:遺伝的な素因は、糖尿病になるリスクの一つですが、遺伝だけですべてが決まるわけではありません。遺伝的なリスクがあっても、健康的な生活習慣を送ることで、糖尿病の発症を予防したり、遅らせたりすることが十分に可能です。特に境界型糖尿病の段階であれば、生活習慣の改善による効果は非常に大きいことがわかっています。遺伝を理由に諦めるのではなく、「自分は他の人より少しリスクが高い体質なんだ」と認識し、より一層、健康的な生活習慣を心がけることが重要です。

Q5:サプリメントや健康食品で境界型糖尿病は治りますか?
A5:特定のサプリメントや健康食品だけで境界型糖尿病が「治る」という科学的な根拠は確立されていません。血糖値を下げる効果が期待される成分を含む製品もありますが、その効果は限定的であり、あくまで基本的な食事療法や運動療法の補助として考えるべきです。これらの製品に頼りすぎて、最も重要な生活習慣の改善を怠ると、かえって病状が悪化するリスクがあります。また、中には他の薬と飲み合わせが悪かったり、健康を損なう可能性のある製品も存在します。サプリメントや健康食品を利用したい場合は、必ず事前に医師や薬剤師に相談してください。最も確実で効果的なのは、バランスの取れた食事と適度な運動、そして生活習慣全体の改善です。

【まとめ】境界型糖尿病は改善のチャンス!放置せず専門医に相談を

この記事では、境界型糖尿病について、その状態、診断基準、原因、症状、検査、そして最も重要な改善・予防策と放置した場合のリスクについて詳しく解説しました。

境界型糖尿病は、自覚症状がほとんどないため見過ごされがちですが、将来糖尿病へ進行し、心筋梗塞や脳卒中などの深刻な合併症を引き起こす可能性が高い、非常に重要な健康状態のサインです。

しかし、落ち込む必要はありません。
境界型糖尿病の段階は、生活習慣を改善することで血糖値を正常に戻し、糖尿病や合併症の発症を防ぐことができる最後のチャンスとも言えます。

最も効果的な対策は、以下の3本柱です。

  • 食事療法: バランスの取れた食事を、適切な量と時間に摂る。精製度の低い炭水化物を選び、野菜をたっぷり摂る。甘い飲み物やお菓子を控える。
  • 運動療法: 血糖値を下げる効果のある有酸素運動と、インスリン感受性を高める筋力トレーニングを組み合わせる。無理なく継続できる運動習慣を身につける。
  • 生活習慣全体の改善: 禁煙、節酒、十分な睡眠、ストレス管理などに取り組む。

もし健康診断で境界型糖尿病やその疑いを指摘されたら、決して放置せず、まずは医療機関を受診しましょう。
専門医に相談することで、ご自身の体の状態を正確に把握し、一人ひとりに合った具体的な改善策についてアドバイスを受けることができます。
管理栄養士や運動指導士などの専門家のサポートも有効です。

境界型糖尿病は、あなたの健康な未来への警告であり、同時に、生活習慣を見直し、より健康になるための貴重な機会でもあります。
この機会を最大限に活かし、前向きに健康管理に取り組んでいきましょう。
早期の行動が、あなた自身の健康を守ることに繋がります。

免責事項: 本記事は一般的な情報提供を目的としており、個々の症状や状況に関する医学的なアドバイスを提供するものではありません。健康状態に関して懸念がある場合は、必ず医師やその他の医療専門家にご相談ください。本記事の情報に基づいて行った行動によって生じたいかなる結果についても、当方では責任を負いかねます。

HOME

ブログカテゴリー

AGA
diabetes
お知らせ
ご案内
分類なし
千葉市
中央区
稲毛区
緑区
美浜区
花見川区
若葉区
千葉県
いすみ市
佐倉市
八千代市
八街市
匝瑳市
南房総市
印西市
君津市
四街道市
富津市
富里市
市原市
市川市
成田市
我孫子市
旭市
木更津市
東金市
松戸市
柏市
流山市
浦安市
白井市
習志野市
船橋市
茂原市
袖ヶ浦市
野田市
銚子市
鎌ケ谷市
館山市
香取市
鴨川市
埼玉県
さいたま市
中央区
北区
南区
大宮区
岩槻区
桜区
浦和区
緑区
見沼区
ふじみ野市
三郷市
上尾市
入間市
八潮市
加須市
北本市
吉川市
和光市
坂戸市
富士見市
川口市
川越市
幸手市
志木市
戸田市
所沢市
新座市
日高市
春日部市
朝霞市
本庄市
桶川市
深谷市
熊谷市
狭山市
白岡市
秩父市
草加市
蓮田市
蕨市
行田市
越谷市
飯能市
鴻巣市
鶴ヶ島市
心療内科
東京都
三鷹市
世田谷区
中央区
中野区
北区
千代田区
台東区
品川区
墨田区
多摩市
大田区
小金井市
府中市
文京区
新宿区
杉並区
板橋区
武蔵野市
江戸川区
江東区
渋谷区
港区
狛江市
町田市
目黒区
稲城市
練馬区
荒川区
葛飾区
西東京市
調布市
豊島区
足立区
港南区
瀬谷区
神奈川県
三浦市
中区
中原区
伊勢原市
保土ヶ谷区
南区
南足柄市
厚木市
多摩区
大和市
宮前区
小田原市
川崎区
川崎市
平塚市
幸区
座間市
戸塚区
旭区
栄区
横浜市
横須賀市
泉区
海老名市
港北区
相模原市
中央区
南区
磯子区
神奈川区
秦野市
綾瀬市
緑区
茅ヶ崎市
藤沢市
西区
逗子市
都筑区
金沢区
鎌倉市
青葉区
高津区
鶴見区
麻生区
食から健康に

ブログカレンダー

2025年8月
« 7月    
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031
▲ ページのトップに戻る

Close

HOME