糖尿病網膜症|初期は無症状?3大合併症のリスクと予防法
糖尿病網膜症は、糖尿病が引き起こす重篤な合併症の一つで、日本の失明原因の上位を占めています。初期には自覚症状がほとんどないため、気づかないうちに進行してしまうことが少なくありません。しかし、早期に発見し適切な治療と管理を行うことで、失明のリスクを大幅に減らすことが可能です。この病気について正しく理解し、大切な視力を守るために、今からできることを知りましょう。この記事では、糖尿病網膜症の原因、症状、進行、診断、治療、そして最も重要な予防策について、詳しく解説します。
糖尿病が目に及ぼす影響
糖尿病は全身の血管に影響を与える病気ですが、特に細い血管が豊富な臓器で合併症を起こしやすい特性があります。目の中の網膜も、非常に細かい血管が張り巡らされているため、高血糖の影響を受けやすくなっています。糖尿病によって網膜の血管が傷つくと、血管が詰まったり、弱くなったり、異常な血管(新生血管)が生えたりします。これらの変化が、網膜の正常な働きを妨げ、視力障害の原因となります。糖尿病によって引き起こされる目の合併症は、網膜症の他にも、糖尿病黄斑浮腫、糖尿病性白内障、糖尿病性緑内障などがありますが、最も注意が必要なのが糖尿病網膜症です。
糖尿病網膜症の定義と病態
糖尿病網膜症は、糖尿病に特有の網膜の微小血管障害を主病変とする病気です。高血糖によって網膜の細い血管の壁が厚くなったり、脆くなったり、血液の成分が漏れ出やすくなったりします。これにより、血管が詰まったり、血管の壁から血液中のタンパク質や脂質が漏れ出して網膜に沈着したりします。さらに病気が進行すると、網膜への酸素供給が不足し、それを補おうとして異常な血管(新生血管)が生えてきます。この新生血管は非常に脆く破れやすいため、出血や網膜剥離を引き起こし、急激な視力低下や失明を招く原因となります。
糖尿病網膜症の英文略称(DR)
糖尿病網膜症は、英語では「Diabetic Retinopathy」と呼ばれ、その頭文字をとって「DR」と略されることがあります。医学論文や学会発表などでは一般的に使われる略称です。このDRという略称を知っておくと、関連情報を調べる際に役立つことがあります。
糖尿病網膜症の原因と進行メカニズム
糖尿病網膜症の主な原因は、糖尿病による慢性的な高血糖状態です。血糖値が高い状態が続くと、全身の血管にダメージが蓄積され、特に網膜の細い血管はその影響を強く受けます。
高血糖による網膜血管の障害
高血糖は、網膜の血管の内壁にある細胞を傷つけ、機能障害を引き起こします。具体的には、以下のような変化が起こります。
- 血管壁の肥厚: 血管の壁が厚くなり、血液が流れにくくなります。
- 毛細血管瘤(Microaneurysm)の形成: 血管の一部が膨らんで小さな瘤(こぶ)ができます。これは網膜症の初期に見られる特徴的な所見です。
- 出血(点状・斑状出血): 傷ついた血管から血液が漏れ出して、網膜に出血点ができます。
- 硬性白斑(Hard Exudates): 血管から漏れ出した脂質やタンパク質が網膜に沈着してできる白い点です。
- 軟性白斑(Cotton Wool Spots): 血管が詰まって網膜の神経線維が障害されることでできる白い点です。網膜への血流障害を示唆します。
- 血管新生: 網膜への酸素供給が不足すると、血管内皮増殖因子(VEGF)などの物質が大量に分泌され、新しい血管が異常に増殖します。これが「新生血管」です。新生血管は脆く、破れて大きな出血を起こしたり、増殖組織が網膜を引っ張って網膜剥離を引き起こしたりします。
これらの血管の変化は、時間とともに進行し、網膜の正常な機能が失われていきます。高血糖の期間が長く、血糖コントロールが悪いほど、網膜症は進行しやすくなります。
網膜病変の進行段階
糖尿病網膜症は、その進行の程度によっていくつかの段階に分類されます。大きく分けて「単純糖尿病網膜症」「増殖前糖尿病網膜症」「増殖糖尿病網膜症」の3段階があります。この分類は、病気の重症度や将来の予測、そして治療方針を決定する上で非常に重要です。
- 単純糖尿病網膜症(Non-proliferative Diabetic Retinopathy: NPDR)
- 網膜症の最も初期の段階です。
- 網膜の細い血管に毛細血管瘤、小さな出血(点状・斑状出血)、硬性白斑などが見られます。
- 血管の詰まり(虚血)はまだ軽度です。
- この段階では、自覚症状がほとんどないことが多く、視力にも影響がない場合がほとんどです。しかし、黄斑(ものを見る中心部)に浮腫(むくみ)が生じると、視力低下を感じることがあります。
- 適切な血糖コントロールを行うことで、進行を遅らせたり、病変が改善したりすることもあります。
- 増殖前糖尿病網膜症(Pre-proliferative Diabetic Retinopathy: PPDR)
- 単純網膜症より一歩進行した段階です。
- 網膜の血管の詰まり(虚血)が広がり、軟性白斑や網膜内の微小血管異常(IRMA)などが見られます。
- 新生血管はまだ見られませんが、新生血管が生じるリスクが高まっている状態です。
- この段階でも、視力への自覚症状は乏しいことが多いですが、病状は確実に進行しています。
- 増殖糖尿病網膜症(Proliferative Diabetic Retinopathy: PDR)
- 網膜症の最も進行した段階です。
- 網膜への広範な虚血により、新生血管が大量に発生します。新生血管は網膜だけでなく、硝子体(目の内部を満たすゼリー状の物質)の中にまで伸びてくることがあります。
- 新生血管は非常に脆く、少しの刺激で破れて硝子体出血を起こしやすいです。
- 新生血管に伴って増殖膜という線維組織ができ、これが収縮すると網膜を引っ張って網膜剥離(牽引性網膜剥離)を引き起こします。
- この段階に至ると、急激な視力低下や失明の危険性が非常に高まります。適切な治療を迅速に行う必要があります。
これらの進行段階を理解することは、糖尿病網膜症の早期発見と早期治療の重要性を認識する上で不可欠です。初期段階で発見できれば、治療の選択肢も多く、視力を維持できる可能性が高まります。
糖尿病網膜症の症状と早期発見の重要性
糖尿病網膜症は、病気がかなり進行するまで自覚症状が現れにくいという厄介な特徴があります。そのため、「まだよく見えているから大丈夫」と思って眼科受診を怠っているうちに、病気が重症化してしまうケースが多く見られます。早期発見のためには、自覚症状がなくても定期的に眼科検診を受けることが非常に重要です。
単純糖尿病網膜症の症状(初期)
単純糖尿病網膜症の段階では、ほとんどの場合、自覚症状は全くありません。視力も良好であることが多いです。網膜の周辺部に小さな出血や瘤ができても、視野の中心部には影響しないため、本人は全く気づかないのです。しかし、目の奥では確実に病気が進行しています。この「無症状」の期間こそが、血糖コントロールを徹底し、定期的な眼科検診で病気の進行をチェックする最も重要な時期と言えます。
増殖前糖尿病網膜症の症状
増殖前糖尿病網膜症の段階でも、自覚症状は乏しいことが多いです。網膜の血管の詰まりが進んでいるにもかかわらず、視力は維持されている場合が多いからです。ただし、この段階で黄斑に浮腫が生じると、物が歪んで見えたり、視力が低下したりすることがあります。増殖前網膜症は、増殖網膜症へ移行する手前の危険なサインです。この段階で適切な治療や管理を行わないと、急速に病気が進行し、視力を失うリスクが高まります。
増殖糖尿病網膜症の症状(重症段階)
増殖糖尿病網膜症の段階になると、視力に関する様々な自覚症状が現れやすくなります。これは、新生血管やそれに伴う出血、網膜剥離などが生じるためです。
飛蚊症や視力低下
硝子体に出血が起こると、視野の中に黒い点や糸くずのようなものが飛んでいるように見える「飛蚊症」を自覚することがあります。出血の量が少ない場合は飛蚊症だけですが、出血量が多い場合は、霧がかかったように見えにくくなる、あるいは突然視力が低下するといった症状が現れます。これは、血液が光の通り道を遮ってしまうためです。
硝子体出血や牽引性網膜剥離
新生血管が破れて硝子体に出血が起こると、上述のように飛蚊症や視力低下が生じます。出血は自然に吸収されることもありますが、繰り返したり量が多い場合は、視力回復が困難になったり、増殖膜の形成を促進したりします。
また、新生血管に伴ってできる増殖膜が収縮すると、網膜を硝子体の方へ引っ張り上げてしまい、網膜が剥がれてしまう「牽引性網膜剥離」を引き起こします。網膜剥離が黄斑に及ぶと、急激に視力が失われ、回復が難しくなります。網膜剥離が起こると、視野の一部が欠けたり、カーテンがかかったように見えたり、物が歪んで見えたりといった症状が現れます。
糖尿病黄斑浮腫による視力低下
糖尿病網膜症のどの段階でも起こりうる、視力に直結する重要な病態として「糖尿病黄斑浮腫(Diabetic Macular Edema: DME)」があります。黄斑は網膜の中心に位置し、色や形、細かい部分を識別するなど、最も重要な視機能を担っています。糖尿病によって黄斑部の血管から血液成分が漏れ出し、黄斑がむくんで厚くなるのが黄斑浮腫です。黄斑浮腫が生じると、物が歪んで見えたり(変視症)、中心部の視力が低下したりします。単純網膜症の段階でも黄斑浮腫は起こりうるため、病気の初期から視力に影響を及ぼす可能性があります。
糖尿病視網膜病變 前兆について
「糖尿病視網膜病變 前兆」という言葉で検索する方もいらっしゃいますが、前述のように、糖尿病網膜症は自覚できる「前兆」がほとんどありません。しいて言えば、物が歪んで見える、中心が見えにくいといった黄斑浮腫の症状が、初期~中期の段階で現れる「気づきのきっかけ」となることはあります。しかし、これは病気がすでに進行しているサインであり、本当に早い段階での「前兆」とは言えません。だからこそ、糖尿病と診断されたら、自覚症状の有無にかかわらず、定期的な眼科検診を開始することが極めて重要なのです。
糖尿病網膜症の診断方法
糖尿病網膜症の診断は、主に眼科医による眼底検査で行われます。自覚症状がない初期段階でも病気を発見するために、様々な検査が行われます。
眼底検査の重要性
眼底検査は、瞳孔から目の奥にある網膜、視神経、血管の状態を直接観察する検査です。眼底鏡や眼底カメラなどの機器を使って行われます。多くの場合、検査前に瞳孔を開く目薬を使用することで、より広い範囲を詳細に観察できるようになります。この検査で、網膜の出血、毛細血管瘤、硬性白斑、軟性白斑、新生血管、網膜剥離など、糖尿病網膜症に特徴的な病変の有無や程度を確認し、病気の進行段階を診断します。眼底検査は糖尿病網膜症の診断において最も基本的かつ重要な検査であり、定期的に受けることで病気の進行を早期に把握することができます。
OCT検査や蛍光眼底造影検査
眼底検査に加え、必要に応じて以下のような精密検査が行われます。
- 光干渉断層計(OCT: Optical Coherence Tomography)検査: 近赤外線を利用して網膜の断層画像を撮影する検査です。網膜の厚みや構造を詳しく調べることができ、特に糖尿病黄斑浮腫の有無や程度、網膜の層構造の変化などを評価するのに非常に有用です。非接触で短時間に行える検査です。
- 蛍光眼底造影検査(FFA: Fundus Fluorescein Angiography): 蛍光色素を腕の静脈から注射し、時間経過とともに網膜血管を流れる蛍光色素を特殊なカメラで撮影する検査です。血管からの色素漏出(血液成分の漏れ)、血管の詰まり(無灌流領域)、新生血管の存在などを詳細に把握できます。黄斑浮腫の診断や、レーザー治療が必要な範囲を決定するのに役立ちます。ただし、色素注射が必要であり、アレルギー反応などのリスクもあるため、全ての患者さんに行われるわけではありません。
これらの検査を組み合わせることで、糖尿病網膜症の病態を正確に把握し、最適な治療方針を立てることができます。
糖尿病網膜症の治療法
糖尿病網膜症の治療は、病気の進行段階や黄斑浮腫の有無によって異なります。治療の目標は、病気の進行を抑え、可能な限り現在の視力を維持すること、そして失明を予防することです。一度ダメージを受けた網膜や視力を完全に元に戻すことは難しいため、早期の段階から適切な治療と管理を行うことが極めて重要です。
血糖コントロールの徹底
糖尿病網膜症の治療の基本は、何と言っても血糖コントロールを良好に保つことです。血糖値が高い状態が続くと、網膜症は必ず進行します。逆に、血糖コントロールが改善すれば、特に初期の単純網膜症の段階では、病変が軽快したり、進行を遅らせたりすることが期待できます。食事療法、運動療法、薬物療法(飲み薬やインスリン注射)を適切に行い、主治医と協力して目標血糖値を達成・維持することが、網膜症の進行を防ぐ上で最も重要です。血糖だけでなく、血圧や脂質値の管理も、網膜症を含む糖尿病合併症の予防・進行抑制に不可欠です。
レーザー光凝固術
レーザー光凝固術は、網膜の病変部にレーザーを照射して、異常な血管を閉じたり、新生血管の発生を抑制したりする治療法です。主に増殖前糖尿病網膜症や増殖糖尿病網膜症の段階で行われます。
- 目的:
- 網膜の酸素不足を改善し、新生血管の発生を抑える。
- すでに発生した新生血管を焼きつぶして消退させる。
- 血管からの漏出を抑え、黄斑浮腫の改善を図る場合もある(ただし、黄斑浮腫に対する第一選択ではない)。
- 網膜剥離などの重篤な合併症を予防する。
- 方法: 点眼麻酔を行い、コンタクトレンズを装着して行います。レーザーを網膜に何十~何百箇所、あるいはそれ以上の数を照射します。病変の範囲や程度によって、数回に分けて行うこともあります。
- 影響: レーザーを照射した部分は、光を感知する機能が失われるため、治療後に視野が少し狭くなったり、夜間に見えにくくなったりすることがあります。しかし、これは失明というさらに重篤な結果を回避するために必要な治療であり、中心部の視力を守るためにはやむを得ない場合があります。
抗VEGF抗体硝子体注射
抗VEGF抗体硝子体注射は、糖尿病黄斑浮腫や新生血管に対する近年主流となっている治療法です。VEGF(血管内皮増殖因子)は、網膜症の進行や黄斑浮腫に関わる物質ですが、この物質の働きを抑える薬剤(抗VEGF抗体)を硝子体内に直接注射します。
- 目的:
- 黄斑部の血管からの血液成分の漏出を抑え、黄斑浮腫を軽減・改善する。
- 新生血管の発生を抑制したり、新生血管を消退させたりする。
- 方法: 点眼麻酔を行い、目の白目の部分から細い針で薬剤を硝子体内に注射します。注射自体は数分で終わります。
- 回数: 効果を持続させるために、通常は数回にわたって繰り返し注射する必要があります。病状によって、最初は毎月行い、その後間隔をあけていくなど、治療スケジュールが組まれます。
- 効果: 黄斑浮腫や新生血管に対して高い効果が期待でき、視力改善につながることもあります。ただし、効果には個人差があり、病状によっては十分な効果が得られない場合もあります。
硝子体手術
硝子体手術は、増殖糖尿病網膜症がさらに進行し、硝子体出血が吸収されない場合、増殖膜による牽引性網膜剥離が起こった場合などに行われる手術療法です。
- 目的:
- 硝子体内の出血や濁りを取り除く。
- 網膜を引っ張っている増殖膜を除去する。
- 剥がれた網膜を元に戻す。
- 方法: 目の白目に小さな穴を開け、専用の器具を使って硝子体を取り除き、出血や増殖膜を除去します。剥がれた網膜を元の位置に戻し、必要に応じてレーザー光凝固やガス、シリコンオイルなどを目の中に注入して網膜を安定させます。
- 難易度: 硝子体手術は高度な技術を要する手術であり、特に糖尿病網膜症による網膜剥離は癒着が強く、手術が難しいことが多いです。
- 術後: 手術によって視力が改善することも期待できますが、病状によっては回復が限られたり、再出血や再剥離のリスクがあったりします。
糖尿病視網膜病變 會好嗎?(治療による改善)
「糖尿病視網膜病變 會好嗎?」つまり「糖尿病網膜症は治るか?」という疑問ですが、残念ながら、糖尿病網膜症そのものを完全に治して、網膜を全く病気になる前の状態に戻すことは、現代の医療では非常に難しいのが現状です。特に、すでに血管が詰まってしまった部分や、レーザーで凝固した部分は元に戻りません。
しかし、「治る」ということではなく、「病気の進行を抑える」「現在の視力を維持する、あるいは改善する」「失明を防ぐ」という目的であれば、治療によって大きな効果が期待できます。
- 単純網膜症: 血糖コントロールを徹底すれば、病変が改善したり、進行が止まったりする可能性があります。
- 増殖前・増殖網膜症、黄斑浮腫: レーザー治療、抗VEGF抗体注射、硝子体手術などの治療によって、病気の進行を食い止めたり、視力を改善させたり、重篤な合併症(失明)を回避したりすることが可能です。
重要なのは、病気が進行する前の早い段階で発見し、適切な治療を開始することです。放置すれば確実に悪化し、視力を失う可能性が高まります。治療は、現在の視力を守り、将来の視力予後を改善するために行われるのです。
糖尿病網膜症の予防と自己管理
糖尿病網膜症は、発症や進行に糖尿病の管理状態が深く関わっているため、患者さん自身の努力による予防や進行抑制が非常に重要です。一度なってしまうと完全に元に戻すのは難しいからこそ、病気にならないこと、あるいは早期に発見して進行させないことが大切です。
血糖値、血圧、脂質値の管理
糖尿病網膜症を予防し、進行を抑える上で最も基本となるのは、血糖値、血圧、脂質値の良好な管理です。
- 血糖コントロール: 糖尿病の指標であるHbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)を目標値内に維持することが重要です。一般的には7.0%未満が推奨されますが、年齢や合併症の状況、低血糖のリスクなどを考慮して、個別の目標値が設定されます。血糖値が高い状態が続くほど網膜症のリスクは高まります。
- 血圧コントロール: 高血圧も網膜の血管に負担をかけ、網膜症の発症や進行を促進します。目標血圧は一般的に130/80mmHg未満とされますが、個別の状況によって異なります。
- 脂質コントロール: 脂質異常症(高コレステロール血症など)も血管の動脈硬化を進め、網膜症のリスクを高めます。コレステロールや中性脂肪を目標値内に維持することが重要です。
これらの指標を良好に保つためには、医師や管理栄養士の指導のもと、食事療法、運動療法、薬物療法を継続して行うことが不可欠です。
定期的な眼科検診の必要性
糖尿病網膜症の早期発見と早期治療のためには、自覚症状がなくても定期的に眼科検診を受けることが最も重要です。糖尿病と診断されたら、血糖コントロールの状態に関わらず、必ず眼科を受診しましょう。
- 検診の頻度:
- 糖尿病と診断されたら、まず一度眼科で眼底検査を受け、網膜症の有無や程度を確認します。
- 網膜症がない場合や、ごく軽度の場合は、通常は年に1回の定期検診が推奨されます。
- 単純網膜症や増殖前網膜症がある場合は、病状に応じて3~6ヶ月に1回など、より頻繁な検診が必要になります。
- 増殖網膜症がある場合や治療中の場合は、さらに短い間隔での検診が必要です。
定期的な眼科検診を受けることで、網膜症の病期を正確に把握し、適切なタイミングで治療を開始することができます。検診を受けずに放置すると、気づいた時には進行して手遅れになってしまう危険性があります。
糖尿病視網膜病變 吃什麼?(食事と栄養)
「糖尿病視網膜病變 吃什麼?」つまり「糖尿病網膜症に効果的な食事や栄養は?」という疑問に対しては、糖尿病網膜症に特効薬のように効く特定の食品や栄養素はありません。しかし、糖尿病網膜症の予防や進行抑制のためには、糖尿病全体の管理、つまり血糖、血圧、脂質を良好に保つためのバランスの取れた食事が非常に重要です。
- 基本的な食事療法:
- 適正なエネルギー摂取: 体重や活動量に見合った適切な量の食事を摂り、肥満を予防・改善します。
- 糖質のコントロール: 砂糖などの甘いもの、清涼飲料水、菓子類は控えめにします。ご飯やパン、麺類などの主食は適量とし、食物繊維が豊富な玄米や全粒粉を選ぶと血糖値の急激な上昇を抑えられます。
- 野菜・きのこ・海藻類の積極的な摂取: 食物繊維やビタミン、ミネラルが豊富で、血糖値や脂質値の改善に役立ちます。
- たんぱく質: 肉、魚、卵、大豆製品などからバランスよく摂取します。ただし、腎臓合併症がある場合は、医師や管理栄養士の指導に従います。
- 脂質: 動物性脂肪やトランス脂肪酸は控えめにし、魚に含まれるオメガ3脂肪酸や植物油(オリーブオイルなど)を適量摂るようにします。
- 塩分制限: 血圧コントロールのために、減塩を心がけます。加工食品や外食には塩分が多いので注意が必要です。
- アルコールの制限: 過剰なアルコール摂取は血糖コントロールを乱す原因となります。
- 目に良いとされる栄養素: 直接的に網膜症を「治す」わけではありませんが、目の健康全般を維持するために、以下のような栄養素を含む食品をバランス良く摂ることは良いでしょう。
- ルテイン・ゼアキサンチン: 網膜の黄斑部に多く存在する色素で、光ダメージから目を守るとされています。(ほうれん草、ケール、ブロッコリーなどの緑黄色野菜)
- オメガ3脂肪酸: 網膜の健康に関わり、ドライアイなどの改善にも役立つ可能性があります。(サバ、イワシ、サンマなどの青魚)
- ビタミンC・E: 抗酸化作用があり、細胞を酸化ストレスから守ります。(果物、野菜、ナッツ類など)
- 亜鉛: 目の組織の健康維持に関わります。(牡蠣、肉類、豆類など)
最も重要なのは、網膜症に効く特定の食品に頼るのではなく、糖尿病全体の管理として、医師や管理栄養士の指導のもと、バランスの取れた食事療法を継続することです。
糖尿病視網膜病變に関するよくある質問 (FAQ)
糖尿病網膜症について、患者さんやそのご家族からよく寄せられる質問にお答えします。
糖尿病會影響到眼睛嗎?
はい、糖尿病は目に様々な影響を及ぼします。糖尿病は全身の血管を傷つけますが、特に目の奥にある網膜の細い血管は高血糖の影響を受けやすく、糖尿病網膜症を引き起こす最大の原因となります。また、糖尿病は白内障や緑内障のリスクを高めることも知られています。目の合併症は、糖尿病の三大合併症の一つであり、視力に重大な影響を与える可能性があるため、目の健康管理は糖尿病治療において非常に重要です。
糖尿病視網膜病變 會失明嗎?
はい、糖尿病網膜症は進行すると失明の原因となります。特に、増殖糖尿病網膜症の段階で、硝子体出血や牽引性網膜剥離といった重篤な合併症を引き起こした場合、視力が著しく低下したり、回復が困難な失明に至ったりする可能性があります。糖尿病網膜症は、日本において成人の中途失明原因の上位を占めています。しかし、病気の早期に発見し、適切な血糖コントロールを継続し、必要に応じてレーザー治療や注射、手術などの治療を受けることで、失明に至るリスクを大幅に減らすことができます。決して「糖尿病になったら必ず失明する」わけではありません。
糖尿病失明 回復の見込み
一度、糖尿病網膜症によって失われた視力や、網膜に生じたダメージ(血管の詰まりやレーザー凝固跡など)を完全に回復させることは、一般的に難しいです。特に、網膜剥離が黄斑部に及んだり、黄斑のダメージが長期間続いたりした場合は、視力の回復が限られることが多いです。
しかし、治療によって視力が改善する可能性もゼロではありません。例えば、硝子体出血によって視力が急激に低下した場合でも、出血が吸収されたり、硝子体手術で出血を除去したりすることで、視力が改善することがあります。また、抗VEGF抗体注射によって黄斑浮腫が軽減すれば、視力が向上することも期待できます。
回復の見込みは、病気の進行段階、黄斑への影響の程度、治療開始のタイミングなど、多くの要因によって異なります。重要なのは、手遅れになる前に眼科を受診し、適切な治療を受けることです。
糖尿病視網膜病變會好嗎?
前述の通り、糖尿病網膜症を完全に「治す」ことは難しいですが、病気の進行を止めたり、遅らせたりすることは可能です。特に、血糖コントロールを良好に保つこと、そして必要に応じてレーザー治療や抗VEGF抗体注射などの治療を受けることが、病気の進行抑制には不可欠です。早期の単純網膜症の段階であれば、血糖コントロールによって病変が改善する可能性もあります。しかし、増殖網膜症まで進行してしまうと、治療によっても完全に元の状態に戻すことは難しくなり、視力を維持するための治療が中心となります。病気が進行すればするほど、治療の難易度は上がり、視力の予後も悪くなる傾向があるため、早期発見・早期治療が極めて重要です。
糖尿病視網膜病變 吃什麼に効果がある?
糖尿病網膜症に直接的な治療効果を持つ特定の食品はありません。しかし、糖尿病網膜症は糖尿病の合併症であるため、糖尿病全体の管理、すなわち血糖値、血圧、脂質値を良好に保つためのバランスの取れた食事が非常に重要です。全粒穀物、野菜、果物、魚などをバランス良く摂取し、砂糖、加工食品、動物性脂肪、塩分などを控えめにする食生活は、糖尿病網膜症を含む糖尿病合併症全般の予防・進行抑制に役立ちます。食事に関しては、自己判断せず、医師や管理栄養士の指導を受けることをお勧めします。
まとめ:糖尿病網膜症から目を守るために
糖尿病網膜症は、糖尿病の重大な合併症であり、進行すると失明に至る可能性があります。しかし、早期に発見し、適切な治療と管理を行うことで、そのリスクを大幅に減らすことができます。
この病気の最も怖い点は、初期の段階ではほとんど自覚症状がないことです。「よく見えているから大丈夫」という思い込みは危険です。糖尿病と診断されたら、たとえ血糖コントロールが良好であっても、必ず定期的な眼科検診を受けましょう。眼底検査によって、自覚症状が現れる前の段階で病変を発見することができます。
病気が発見された場合は、進行段階に応じて適切な治療が行われます。治療の中心は、良好な血糖コントロール、血圧・脂質管理といった糖尿病全体の管理に加え、必要に応じてレーザー光凝固術、抗VEGF抗体硝子体注射、硝子体手術などが行われます。これらの治療は、病気の進行を抑え、重篤な視力低下や失明を防ぐために行われます。
糖尿病網膜症から大切な視力を守るためには、以下の3つのステップが鍵となります。
- 糖尿病の適切な管理: 医師の指導のもと、血糖、血圧、脂質を目標値内に維持するための食事療法、運動療法、薬物療法を継続する。
- 定期的な眼科検診: 自覚症状がなくても、眼科医の指示に従って定期的に眼底検査を受ける。
- 早期の治療: 網膜症が発見されたら、進行段階に応じて適切な治療を速やかに開始する。
糖尿病網膜症は、放置すれば確実に進行する病気です。しかし、早期に気づき、適切に対応すれば、多くの場合は視力を守ることができます。あなたの目の健康を守るために、今日からこれらの予防策と管理を始めましょう。何か気になる症状があれば、迷わず眼科医に相談してください。
免責事項: この記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の病状の診断や治療を保証するものではありません。糖尿病網膜症に関する診断や治療については、必ず医療機関を受診し、医師の指導を受けてください。