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αグルコシダーゼ阻害薬とは?効果・副作用(おなら)や種類を解説

[2025.06.29]

αグルコシダーゼ阻害薬(α-GI)は、2型糖尿病の治療に用いられる薬剤の一種です。
食事から摂取した炭水化物(糖質)が体内に吸収されるスピードを穏やかにすることで、食後の急激な血糖値の上昇(食後高血糖)を抑えることを目的としています。
特に、食後の血糖値の変動が大きい方や、糖尿病の初期段階にある方などに処方されることがあります。
この薬は、インスリンの分泌を直接促すものではなく、食事療法や運動療法を補完する形で使用されることが多いのが特徴です。

αグルコシダーゼ阻害薬は、食後の血糖値管理に特化した糖尿病治療薬です。
食事に含まれるでんぷんや砂糖などの糖質は、消化管内で「α-グルコシダーゼ」という酵素によってブドウ糖などの単糖類に分解されてから体内に吸収されます。
αグルコシダーゼ阻害薬は、この酵素の働きを妨げることで、糖質の分解と吸収を遅らせ、食後の急激な血糖上昇を抑制する効果を発揮します。

αグルコシダーゼ阻害薬の作用機序

私たちの体は、食事で炭水化物を摂ると、それを消化酵素の助けを借りて小さな糖に変え、小腸から吸収します。
αグルコシダーゼは、特に小腸にある主要な消化酵素の一つで、二糖類(砂糖など)や多糖類(でんぷんなど)をブドウ糖などの単糖類に分解する役割を担っています。
ブドウ糖はそのまま吸収されて血糖値を上昇させます。

αグルコシダーゼ阻害薬は、このαグルコシダーゼ酵素に結合することで、糖質の分解を物理的に遅らせます。
例えるなら、大きな糖の塊を小さくバラバラにするハサミの切れ味を鈍らせるようなイメージです。
これにより、糖がブドウ糖に分解されるスピードがゆっくりになり、小腸からのブドウ糖の吸収も穏やかになります。
結果として、食後数時間にかけて起こる血糖値の急激な上昇が抑えられ、血糖値のピークが低く、かつ穏やかになります。

αグルコシダーゼ阻害薬の主な特徴

αグルコシダーゼ阻害薬には、他の糖尿病治療薬と比較していくつかの特徴があります。

  • 食後高血糖に対する強力な効果: 特に食後1〜2時間後の血糖値のピークを抑えるのに優れています。これは、まさに食事による糖の吸収を直接的に遅らせる作用機序によるものです。
  • 単独使用時の低血糖リスクが低い: この薬はインスリンの分泌を直接刺激するわけではありません。そのため、食事を摂って糖が体内に入ってきたときにのみ作用し、空腹時や食事量が少ない時などに単独で服用しても、血糖値を必要以上に下げてしまう低血糖のリスクが比較的低いとされています。ただし、他の糖尿病治療薬、特にSU薬やインスリン製剤と併用する場合には、低血糖を起こす可能性があり注意が必要です。
  • 体重への影響が少ない: 一般的に、αグルコシダーゼ阻害薬は体重増加を引き起こしにくいとされています。これは、食欲を増進させたり、エネルギー代謝を大きく変化させたりする作用がないためと考えられます。
  • 脂質代謝への良い影響の可能性: 一部の研究では、中性脂肪の低下など、脂質代謝に対する良い影響も示唆されていますが、これは主要な作用効果というよりも付随的な効果として捉えられることが多いです。
  • 服用タイミングが重要: 効果を最大限に発揮するためには、食事の直前に服用する必要があります。これは、食事で摂取した糖と同時に消化管に到達し、酵素阻害作用を発揮させる必要があるためです。

これらの特徴から、αグルコシダーゼ阻害薬は、特に食後の血糖値が高い方や、比較的早期の2型糖尿病患者さん、あるいは他の薬剤と併用して食後血糖の改善を図りたい場合に適した薬剤と言えます。

αグルコシダーゼ阻害薬の種類と商品名

日本で一般的に使用されているαグルコシダーゼ阻害薬は、主に以下の3種類です。
それぞれに特徴や商品名があります。

ボグリボース(商品名:ベイスン他)

ボグリボースは、1994年に日本で承認されたαグルコシダーゼ阻害薬です。
α-グルコシダーゼの中でも特にスクラーゼ(砂糖を分解する酵素)やマルターゼ(麦芽糖を分解する酵素)に対する阻害作用が比較的強いとされています。
食後の血糖上昇を抑える効果があり、比較的初期の2型糖尿病や、食事療法・運動療法で効果不十分な場合に用いられます。
後発医薬品(ジェネリック)も数多く販売されており、「ボグリボース錠」などの名称で様々なメーカーから出ています。

アカルボース(商品名:グルコバイ他)

アカルボースは、1998年に日本で承認された薬剤です。
ボグリボースと同様にα-グルコシダーゼを阻害しますが、スクラーゼよりもアミラーゼ(でんぷんを分解する酵素)に対する阻害作用がやや強いという特徴があります。
これにより、でんぷんのような多糖類の分解も遅らせる効果が期待できます。
アカルボースも食後高血糖の改善に用いられ、商品名としては「グルコバイ」が知られています。
後発医薬品も存在します。

ミグリトール(商品名:セイブル他)

ミグリトールは、2003年に日本で承認された比較的新しい薬剤です。
ボグリボースやアカルボースと同様にα-グルコシダーゼを阻害しますが、これらの薬剤が消化管内で作用するのに対し、ミグリトールは消化管から一部吸収されて腎臓から排泄されるという薬物動態的な特徴があります。
商品名としては「セイブル」があります。
後発医薬品も存在します。
腎機能が低下している方には使用量や使用に注意が必要な場合があります。

αグルコシダーゼ阻害薬各薬剤の違いと比較

ボグリボース、アカルボース、ミグリトールは、いずれもαグルコシダーゼを阻害することで食後高血糖を改善する薬ですが、詳細な特性には違いがあります。

薬剤名(商品名) 特徴 主な阻害酵素の傾向 吸収・代謝経路 副作用傾向(消化器症状)
ボグリボース(ベイスン) 日本で最初に承認されたα-GI スクラーゼ、マルターゼなど 消化管内でほとんど吸収されず、そのまま排泄される 比較的多い
アカルボース(グルコバイ) デンプンの分解に関わるアミラーゼへの阻害作用も比較的強い アミラーゼ、スクラーゼなど 消化管内でほとんど吸収されず、そのまま排泄される 比較的多い
ミグリトール(セイブル) 一部が消化管から吸収され、腎臓から排泄される特徴を持つ スクラーゼ、マルターゼなど 一部吸収され腎排泄。腎機能低下時に注意が必要。 比較的多い

この表は一般的な傾向を示したものであり、個人によって効果や副作用の現れ方には差があります。
どの薬剤を選択するかは、患者さんの病状、併用薬、腎機能の状態、ライフスタイルなどを総合的に考慮して医師が判断します。

αグルコシダーゼ阻害薬はどれがいい?選び方のポイント

どのαグルコシダーゼ阻害薬が良いかは、個々の患者さんの状況によって異なります。
医師が薬を選択する際には、以下の点を考慮することが多いでしょう。

  • 食生活: どのような食事を主にとるか(ごはんやパンが多いか、甘いものが多いかなど)によって、より効果的な酵素阻害作用を持つ薬剤が選ばれることがあります。例えば、デンプン質の多い食事が多い場合はアミラーゼ阻害作用も持つアカルボースが検討されることもあります。
  • 副作用の出やすさ: 消化器症状(お腹の張り、下痢など)はα-GIに共通する副作用ですが、薬剤によって出やすさや種類に若干の差があると感じる方もいます。医師は過去の治療歴や体質を考慮して選択することがあります。
  • 腎機能: ミグリトールは一部が腎臓から排泄されるため、腎機能が著しく低下している患者さんには適さない場合があります。腎機能の状態に応じて他の薬剤が選択されるか、あるいは用量の調整が必要になります。
  • 併用薬: 他に服用している薬がある場合、飲み合わせの点から特定のα-GIが推奨されることもあります。
  • 費用: 先発医薬品かジェネリック医薬品かによって費用が異なります。継続して服用するため、経済的な負担も考慮に入れる重要な要素です。

結局のところ、「どれが一番良い」と一概に決めることはできません。
最も重要なのは、医師としっかり相談し、ご自身の病状や体の状態に合った薬を選択してもらうことです。
自己判断で薬を変更したり中止したりすることは避けてください。

αグルコシダーゼ阻害薬の効果

αグルコシダーゼ阻害薬の主な効果は、前述した通り食後高血糖の改善です。
これにより、長期的な血糖コントロールの指標であるHbA1cの改善も期待できます。

食後高血糖の改善効果

糖尿病がない健康な人では、食事をしても血糖値の急激な上昇は起こりにくく、食後も比較的速やかに元の血糖値に戻ります。
しかし、2型糖尿病患者さんでは、インスリンの分泌不足や効きにくさ(インスリン抵抗性)により、食後に血糖値が急激に上昇し、高血糖の状態が長く続くことがあります。
食後高血糖は、動脈硬化の進行など、様々な合併症のリスクを高めることが知られています。

αグルコシダーゼ阻害薬は、食事で摂取した糖質の消化吸収を遅らせることで、食後1〜2時間後の血糖値のピークを効果的に抑えます。
これにより、血糖値の急激な変動を緩和し、食後高血糖の時間を短縮することができます。
特に、炭水化物を多めに摂る方や、食後の血糖値だけが高い「隠れ高血糖」のような状態の方に有効性が期待されます。
食後高血糖を改善することは、全身の血管への負担を軽減し、長期的な合併症予防において非常に重要です。

HbA1cに対する効果

HbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)は、過去1〜2ヶ月の平均的な血糖値を反映する指標です。
αグルコシダーゼ阻害薬は、主に食後高血糖を改善する薬ですが、食後高血糖が平均血糖値にも影響を与えるため、継続して服用することでHbA1cの改善にもつながります。

HbA1cの改善度合いは、患者さんの病状や、単独で使用するか他の薬剤と併用するかによって異なります。
一般的には、単独療法の場合、HbA1cを0.5〜1.0%程度低下させる効果が期待できると言われています。
他の薬剤(SU薬、DPP-4阻害薬、ビグアナイド薬など)と併用することで、それぞれの薬の作用機序が異なるため、相乗的に血糖コントロールを改善し、より大きなHbA1cの低下が得られる場合もあります。

ただし、αグルコシダーゼ阻害薬の効果は、食事内容に大きく左右されます。
炭水化物をほとんど摂らない食事をした場合は、糖質の消化吸収を遅らせるこの薬の出番がないため、効果は限定的になります。
逆に、炭水化物を多く含む食事をした場合には、その効果がより顕著に現れる傾向があります。

αグルコシダーゼ阻害薬の副作用と注意点

αグルコシダーゼ阻害薬は比較的安全性の高い薬とされていますが、副作用がないわけではありません。
特に消化器系の副作用が多く報告されています。

主な副作用(お腹の張り、下痢など)

αグルコシダーゼ阻害薬で最も多く見られる副作用は、お腹の張り(腹部膨満感)、おならが増える(放屁)、下痢、腹痛などです。
これらの副作用は、薬によって消化されずに大腸まで届いた糖質が、大腸内の細菌によって分解・発酵される際にガスを発生させたり、水分を吸収して便を緩くしたりするために起こります。

これらの消化器症状は、服用開始初期に現れやすく、体が薬に慣れるにつれて軽減していくこともありますが、症状が強い場合は服用を続けるのが困難になることもあります。
症状を軽減するためには、少量から開始して徐々に増量したり、食事内容を調整したりすることが有効な場合があります。
また、症状が続く場合は、漫然と服用せず、医師に相談して薬剤の変更や中止を検討してもらうことが重要です。

重大な副作用

頻度は非常に低いですが、αグルコシダーゼ阻害薬には注意すべき重大な副作用も報告されています。

  • 肝機能障害: 稀に、AST(GOT)、ALT(GPT)などの肝酵素の数値上昇を伴う肝機能障害が報告されています。特に、ミグリトールは一部吸収されるため、より注意が必要とされます。定期的な肝機能検査が推奨される場合があります。
  • 腸閉塞: ごく稀に、お腹の張りや腹痛がひどくなり、吐き気や嘔吐を伴う腸閉塞様の症状が現れることがあります。このような症状が出た場合は、速やかに医療機関を受診する必要があります。

これらの重大な副作用は頻繁に起こるものではありませんが、異変を感じた場合はすぐに医師や薬剤師に相談することが大切です。

低血糖に関する注意点と対処法

αグルコシダーゼ阻害薬単独で服用している場合、インスリン分泌を直接刺激しないため、低血糖を起こすリスクは低いとされています。
しかし、以下の状況では低血糖のリスクが高まる可能性があります。

  • 他の糖尿病治療薬(特にSU薬やインスリン製剤)と併用している場合: SU薬やインスリン製剤は血糖値を下げる作用が強いため、これらとα-GIを併用すると血糖値が下がりすぎることがあります。
  • 食事量が極端に少ない、または食事を抜いたのに薬を服用した場合: 糖質の摂取量が少ないと、薬が作用するターゲットが少なくなり、血糖値が下がりすぎる可能性があります。
  • 激しい運動をした場合: 運動は血糖値を下げる作用があるため、薬の作用と重なると低血糖を招くことがあります。

低血糖の症状(冷や汗、動悸、手の震え、めまい、空腹感、意識がぼうぜんとするなど)が現れた場合は、速やかに糖分を摂取することが必要です。

αグルコシダーゼ阻害薬による低血糖にはブドウ糖が有効な理由

αグルコシダーゼ阻害薬を服用中に低血糖になった場合、対処のために糖分を摂る際には、砂糖(ショ糖)ではなくブドウ糖(グルコース)を摂取することが推奨されます。

その理由は、αグルコシダーゼ阻害薬が二糖類である砂糖(ショ糖)や多糖類(でんぷん)をブドウ糖に分解する酵素(αグルコシダーゼ)の働きを阻害しているからです。
砂糖を摂取しても、薬の効果によってブドウ糖に分解されにくくなっているため、血糖値を速やかに上昇させる効果が期待できません。

一方、ブドウ糖は単糖類であり、消化酵素による分解が必要ないため、そのまま小腸から速やかに吸収されて血糖値を上昇させます。
そのため、αグルコシダーゼ阻害薬服用中の低血糖時には、必ずブドウ糖(ブドウ糖を含む清涼飲料水、ブドウ糖タブレットなど)を携帯し、いざというときにすぐ摂取できるようにしておくことが非常に重要です。

併用注意薬

αグルコシダーゼ阻害薬と併用する際に注意が必要な薬剤がいくつかあります。

  • 他の血糖降下薬: SU薬、インスリン製剤などと併用すると低血糖のリスクが高まります。必要に応じてこれらの薬剤の量を調整することがあります。
  • ジゴキシン: 一部のαグルコシダーゼ阻害薬(特にミグリトール)は、ジゴキシンの吸収に影響を与える可能性があります。
  • 吸着剤など: 消化管内で他の物質を吸着するような薬剤(例:活性炭)は、αグルコシダーゼ阻害薬の効果を弱める可能性があります。

その他にも注意が必要な薬剤があるため、現在服用している全ての薬(処方薬、市販薬、サプリメントなども含む)を必ず医師や薬剤師に伝えるようにしてください。

使用できない方(禁忌)

以下に該当する方は、αグルコシダーゼ阻害薬を服用することができません。

  • αグルコシダーゼ阻害薬の成分に対して過敏症(アレルギー)の既往がある方: 過去にこの薬でアレルギー反応を起こしたことがある方は服用できません。
  • 重症ケトーシス、糖尿病性昏睡又は前昏睡のある方: 血糖値が非常に高く、インスリンによる治療が必要な状態です。
  • 重症感染症、手術前後、重篤な外傷のある方: ストレスにより血糖コントロールが著しく悪化する可能性があるため、インスリン注射などによる集中治療が必要な場合があります。
  • 消化・吸収障害を伴う慢性の腸疾患のある方: 腸閉塞、憩室炎、潰瘍性大腸炎、クローン病など、重度の消化器疾患がある場合、薬の作用によって症状が悪化する可能性があります。
  • 開腹手術の既往や、腸閉塞を起こしやすい病気のある方: 薬の副作用である腹部膨満やガスの貯留が、腸閉塞を誘発または悪化させる可能性があります。
  • 重度の肝機能障害がある方: 肝臓での代謝や、肝臓への負担の観点から適さない場合があります。特にミグリトールは腎排泄ですが、アカルボースなど他の薬剤も肝臓への影響がゼロではありません。
  • 重度の腎機能障害がある方: 特にミグリトールは腎排泄されるため、重度の腎機能障害がある方には禁忌です。他の薬剤も腎機能の状態によっては注意が必要です。
  • 妊娠中または妊娠している可能性のある方、授乳中の方: 妊婦や授乳婦に対する安全性は確立されていません。

これ以外にも、患者さんの全身状態によっては使用が適さない場合があります。
必ず医師の診断に基づき、適切に処方された薬を服用することが重要です。

αグルコシダーゼ阻害薬の服用方法

αグルコシダーゼ阻害薬の効果を最大限に引き出し、かつ副作用を最小限に抑えるためには、正しい方法で服用することが非常に大切です。

食直前に服用する理由

αグルコシダーゼ阻害薬は、食事の直前に服用することが基本です。
これは、薬が食事に含まれる糖質と同時に消化管に到達し、αグルコシダーゼ酵素の働きを阻害することで、食後の糖の吸収を遅らせるという作用機序に基づいています。

食事の開始とほぼ同時に薬を飲むことで、口から摂取した糖質が消化・吸収されるタイミングに合わせて薬が作用し、食後の血糖値の急激な上昇を効果的に抑えることができます。
食後しばらく経ってから服用したり、食事中に服用したりすると、薬の成分が消化管内で糖質に作用するタイミングがずれてしまい、十分な効果が得られない可能性があります。
また、食前に服用しすぎると、食事前の血糖値に影響を与えてしまう可能性も考えられます。

「食直前」とは、食事の開始から5分以内を目安とすることが多いですが、正確なタイミングについては医師や薬剤師の指示に従ってください。

飲み忘れた場合の対応

もしαグルコシダーゼ阻害薬を飲むのを忘れてしまった場合、どのように対応するかは、その後の食事のタイミングによって異なります。

  • 食事の開始から時間が経ってしまった場合: 食後時間が経過してしまった場合、すでに多くの糖質が消化・吸収されてしまっているため、今から薬を飲んでも期待する効果は得られません。この場合は、その回の服用はスキップし、次の食事の直前から通常通り服用してください。
  • 食事を始めたばかりで、まだあまり食べていない場合: 食事を始めたばかりで、まだ多くの糖質が残っている場合は、気づいた時点でその回の分を服用しても効果がある場合があります。しかし、すでに食べ始めてから時間が経過している場合は、やはりスキップするのが無難です。

いずれの場合も、飲み忘れたからといって、次回の食事の際に2回分をまとめて服用することは絶対に避けてください。
過量服用は副作用のリスクを高めるだけです。
飲み忘れた場合の対応について不安な場合は、自己判断せず医師や薬剤師に相談しましょう。

他の糖尿病治療薬との比較

2型糖尿病の治療薬には様々な種類があり、それぞれ異なる作用機序を持っています。
αグルコシダーゼ阻害薬は、これらの他の薬剤と組み合わせて使用されることも少なくありません。
ここでは、主な糖尿病治療薬とαグルコシダーゼ阻害薬との違いを比較します。

αグルコシダーゼ阻害薬とSGLT2阻害薬の違い

特徴 αグルコシダーゼ阻害薬(α-GI) SGLT2阻害薬
作用機序 消化管での糖質の分解・吸収を遅延させ、食後高血糖を抑制 腎臓からの糖の再吸収を抑制し、尿中に糖を排泄させることで血糖値を下げる
主な効果 食後血糖値の急激な上昇抑制 空腹時血糖値・食後血糖値の両方を改善。体重減少、血圧低下効果も期待
低血糖リスク 単独使用時は低い。他の薬と併用時は注意 単独使用時は比較的低い
体重への影響 影響は少ない 体重減少効果が期待できる
主な副作用 腹部膨満、おなら、下痢など(消化器症状) 尿路感染症、性器感染症、脱水など
服用タイミング 食直前 一般的にいつでも(製品による)

αグルコシダーゼ阻害薬とDPP4阻害薬の違い

特徴 αグルコシダーゼ阻害薬(α-GI) DPP4阻害薬
作用機序 消化管での糖質の分解・吸収を遅延させ、食後高血糖を抑制 インクレチン(GLP-1など)の分解を抑制し、インスリン分泌を促進
主な効果 食後血糖値の急激な上昇抑制 食事に応じたインスリン分泌を促進し、食後血糖値を中心に改善
低血糖リスク 単独使用時は低い。他の薬と併用時は注意 単独使用時は低い
体重への影響 影響は少ない 影響は少ない(中立的)
主な副作用 腹部膨満、おなら、下痢など(消化器症状) 比較的少ない(便秘、鼻咽頭炎など)
服用タイミング 食直前 一般的にいつでも(製品によるが1日1回が多い)

αグルコシダーゼ阻害薬とビグアナイド薬の違い

特徴 αグルコシダーゼ阻害薬(α-GI) ビグアナイド薬(メトホルミンなど)
作用機序 消化管での糖質の分解・吸収を遅延させ、食後高血糖を抑制 肝臓からの糖放出抑制、筋肉での糖利用促進、消化管からの糖吸収抑制
主な効果 食後血糖値の急激な上昇抑制 空腹時血糖値・食後血糖値の両方を改善。インスリン抵抗性を改善
低血糖リスク 単独使用時は低い。他の薬と併用時は注意 単独使用時は非常に低い
体重への影響 影響は少ない 体重増加は起こりにくい、あるいは若干減少する場合がある
主な副作用 腹部膨満、おなら、下痢など(消化器症状) 吐き気、下痢、腹痛など(消化器症状)。稀に乳酸アシドーシス
服用タイミング 食直前 食事中または食後(製品による)

αグルコシダーゼ阻害薬とSU薬の違い

特徴 αグルコシダーゼ阻害薬(α-GI) SU薬(スルホニル尿素薬)
作用機序 消化管での糖質の分解・吸収を遅延させ、食後高血糖を抑制 膵臓のβ細胞に直接働きかけ、インスリン分泌を強力に促進
主な効果 食後血糖値の急激な上昇抑制 空腹時血糖値・食後血糖値の両方を強力に改善
低血糖リスク 単独使用時は低い。他の薬と併用時は注意 単独使用でも低血糖のリスクが高い
体重への影響 影響は少ない 体重増加を招きやすい傾向がある
主な副作用 腹部膨満、おなら、下痢など(消化器症状) 低血糖、体重増加、発疹など
服用タイミング 食直前 食前または食直前(製品による)

まとめ

αグルコシダーゼ阻害薬は、食事から摂取した糖質の分解・吸収を遅らせることで、食後の急激な血糖値の上昇(食後高血糖)を効果的に抑える糖尿病治療薬です。
特に、食後高血糖が気になる方や、他の治療薬で十分な効果が得られない場合の併用療法として重要な役割を果たします。
ボグリボース(ベイスン)、アカルボース(グルコバイ)、ミグリトール(セイブル)などの種類があり、それぞれに若干の特徴の違いがありますが、基本的には食事の直前に服用することで効果を発揮します。

主な副作用は、お腹の張りや下痢といった消化器症状ですが、これらは薬の作用機序に関連したものであり、多くの場合、服用を続けるうちに軽減したり、用量調整で改善したりします。
ただし、稀に重篤な副作用や腸閉塞様の症状が現れることもあるため、異変を感じたら速やかに医師に相談することが大切です。

αグルコシダーゼ阻害薬単独での服用は低血糖のリスクが比較的低いですが、他の糖尿病治療薬、特にSU薬やインスリン製剤と併用する場合は低血糖に注意が必要です。
万が一、低血糖症状が現れた際は、必ずブドウ糖を摂取するようにしてください。

糖尿病治療は、患者さん一人ひとりの病状、ライフスタイル、合併症の有無などを考慮して、最も適した治療法を選択することが重要です。
αグルコシダーゼ阻害薬がご自身の状態に適しているかどうか、また他の薬剤との飲み合わせについてなど、疑問や不安がある場合は必ず医師や薬剤師に相談してください。
自己判断で薬の服用方法を変更したり、中止したりすることは、血糖コントロールを悪化させたり、思わぬ健康被害につながる可能性があります。

※本記事はαグルコシダーゼ阻害薬に関する一般的な情報提供を目的としており、特定の治療法や薬剤を推奨するものではありません。
個々の病状や治療については、必ず専門の医療機関で医師にご相談ください。

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