採血や注射が苦手・怖い理由と対処法を解説|大人も子どもも
大人でも子どもでも、注射や採血が苦手、怖いと思う事は少なくありません。
針の痛さ、血が視界に入るのが苦手、気分が悪くなるなど…注射を回避したくなる理由や原因は多岐に渡っています。
この記事では、採血や注射が苦手、怖いと感じる理由や、その対処法を解説します。
注射・採血が怖いと感じる8つの原因を解説
注射や採血が怖い、苦手になる原因には、以下のような理由があります。
- 痛みが苦手
- 血が怖い
- 先端恐怖症
- 血管が細く、毎回失敗する
- 不安感、緊張感から血管が収縮して注射しづらくなる
- 止血困難で怖い
- 消毒薬、ゴム(ラテックス)手袋などにアレルギーがある
- 血管迷走神経反射の症状が出る
痛みが苦手
注射による痛さ、痛みが極端に苦手という方もいらっしゃいます。
物理的な痛さが苦手な場合は、痛みを軽減する対策を取り、少しでも注射を楽にしましょう。
最近では、針を刺す際の痛みがなくなる麻酔テープやクリームなどが開発されています。
麻酔の効果によって、注射や採血の際の痛みを感じなくなるので、痛みが原因で採血が怖いと感じる人には有効です。
痛みに対して精神的な恐怖心が拭えない、動悸や吐き気などの症状まで現れる場合は「注射恐怖症」の場合もあります。
カウンセリングを受けるなど、こころの対策が必要です。
血が怖い
血を見るのが怖いという理由も、注射が怖い原因としてよく耳にします。
先端恐怖症
鉛筆の先やハサミ、ピンなどの、先端の尖りを見た際に、強く動揺が現れるのが「先端恐怖症」です。
- 恐怖感
- 怖さから一時的に目が開けられない
- 吐き気
- 悪寒
- めまい
- 失神
などの症状が見られます。
血管が細く、毎回失敗する
体質的に
- もともと血管が細い
- 血管の走行が悪く注射針を刺しにくい
などの原因から、注射や採血が失敗する事が多く、注射のやり直しが多くなって物理的に苦痛になったり、前回の経験を思い出して怖くなる等のケースが見受けられます。
不安感、緊張感から血管が収縮して注射しづらくなる
注射や採血への恐怖心、緊張感、苦手意識などが非常に強くなると、交感神経※が高まり、血管が収縮してしまいます。
血管が収縮すると、それだけ血管を見つけづらくなったり、注射しづらくなります。
その結果、注射に対する恐怖心がますます強くなってしまいます。
※交感神経とは
臓器や器官などの働きを向上させる自律神経の一つ。
自律神経が高まる、働きが盛んになると、血管が収縮し、心拍数が上がり、血圧が上昇します。
交感神経の高まりは、呼吸が速く・浅くなる、胃液の分泌の低下など、身体の状態に様々な影響を及ぼします。
止血困難で怖い
採血後の止血処置や体質などの影響から
- 血が止まりにくい
- 青あざができる
などの症状が現れ、注射の苦手意識に繋がっている場合があります。
消毒薬、ゴム(ラテックス)手袋などにアレルギーがある
採血時の
- 消毒薬
- 看護師などスタッフのゴム手袋(ラテックス)
などで、痒みや発疹などのアレルギー症状が現れた事があり、注射に怖さを感じる場合があります。
血管迷走神経反射の症状が出る
神経が興奮した状態で急激に血圧が下がると、脳への酸素の供給不足が起こり、
- めまい
- 不快感
- 意識消失
などの症状が現れる事があります。
「血管迷走神経反射」と呼ばれるこの症状は、不安感や緊張感から起こし易く、注射や採血前に起こる事もあります。
血管迷走神経反射の解説記事もございます。ぜひご参考にされてください。
「血管迷走神経反射になりやすい人へ。6つの対処法、治療法、解決法を医師が解説」
注射・採血の怖さ解消する9つの対策
ここでは、注射や採血の怖さや不安感を和らげる対策を解説します。
- 痛み止めの麻酔テープを使用する
- 注射が苦手、怖い旨、看護師さんに相談し、対策を取る
- 消毒薬、ラッテクス他のアレルギーを事前相談する
- 採血される際に腕を見ない
- 先端恐怖症などの場合、カウンセリングや精神安定剤の処方
- 血管が見つけづらい人は、採血しやすい部位(場所)を覚えておく
- 深呼吸をしてなるべくリラックスする
- 好きな事や趣味の事を考える
- 病気を予防をする、知る、治すためと思って納得をする
痛み止めの麻酔テープを使用する
痛み止めの麻酔テープというものがあります。
局所麻酔薬が含有されており、採血部位に貼ると、採血の痛みを和らげます。
針を刺す際の痛みがなくなるので、採血が苦手な人や、健康診断の前日から憂鬱を感じる人でも、精神的なストレスから解放されるでしょう。
注射の際に麻酔テープを使用可能かどうかは医療機関によって異なりますので、事前に確認すると良いでしょう。
テープを貼ってから効果が現れるまで時間を置く必要もあるので、テープを受け取るタイミングなどの確認が必要です。
注文から最短で翌日に発送されるサイトもあるので、時間がない方は活用してください。
注射が苦手、怖い旨、看護師さんに相談し、対策を取る
注射が苦手、怖いという事を担当医や看護師に相談し、
- 話しながら気を紛らわせつつ注射、採血する
- 摂取や採血に支障の無い範囲で、細めの注射針を使ってもらう
などの対策や希望を伝えるのも、一つの手段です。
対話などがあればリラックスでき、スムーズに施術を終えられる期待ができます。 細い針は痛みの軽減に繋がる事も。
薬剤の流れ込み感覚が苦手な場合は、ゆっくり注入してもらうという方法もあります。
しかし、注射する時間が長くもなるので、素早く処置した方が良いという方針の先生もいらっしゃいます。
注射や採血の方法への要望は、依頼すれば必ず対応してくれるという事ではありません。
しかし、相談をして注射が怖い事を理解してもらう、納得して接種を受けるという事自体が安心感へと繋がります。
消毒薬、ラテックス他のアレルギーを事前相談する
以前の注射時や、その他の医療行為を受けた際に、消毒薬やラテックスでアレルギーが出た事がある場合や、その他のアレルギーがある場合は、事前に担当医や看護師と相談しましょう。
少しでも気になる点、不安な点は解消しておきましょう。
採血される腕を見ない
採血中や、止血テープに滲んだ血を見るのも嫌、という方も多いものです。
- 採血中の部位を見ない
- 長袖やカーディガンなどの羽織るもので、止血テープを貼った部位をすぐに隠す
等の対策が取れます。
先端恐怖症などの場合、カウンセリングや精神安定剤の処方
先端恐怖症や過去の失敗経験、注射恐怖症など、注射や採血への怖さが拭えないという場合は、精神科、心療内科などにかかり、相談をするという方法もあります。
- 恐怖心や苦手意識の克服する方法やアドバイスを受ける
- 事精神安定剤の処方をしてもらう
など、具体的な対策をとる事が可能になります。
注射恐怖症の関連記事もございます。ぜひご参考にされてください。
「注射恐怖症とは|症状と対処法を解説」
血管が見つけづらい人は、採血しやすい部位(場所)を覚えておく
体質的に血管が細く見つかりづらい場合、前回採血が上手く出来た箇所を覚えておくと、成功率が上がる可能性があります。
血管の状態は、その日の心身の状態によって変化します。
そのため、前回大丈夫だった所は必ずまた上手く注射が出来るという訳ではありません。
逆に、前回はやり直したりもあったが、今回はすんなり血管が見つかったという場合も。
身構えすぎると血管が収縮するので、リラックスして挑みましょう。
充分な止血処置をする
血液をした後の止血が不十分な場合、血が止まりにくくなったり、青あざの原因になる場合も。
採血、注射後は5分程度、十分に圧迫止血する必要があります。
横になって採血、注射をしてもらう
緊張から「血管迷走神経反射」で失神した事がある、座って注射をすると注射器や針が見えて極度の緊張状態になる等の場合は、ベッドに横になって採血をするという方法もあります。
事前に担当医、看護師に相談しましょう。
血管迷走神経反射になりやすい人へ。6つの対処法、治療法、解決法を医師が解説
深呼吸をしてなるべくリラックス
強いストレスを感じると、交感神経が高まり、血管が収縮してしまいます。
リラックスをするために深呼吸をして、気持ちを落ち着かせましょう。
好きな事や趣味の事を考える
リラックス効果を得るために
- 自分の好きな事
- 楽しみにしている予定
- 趣味の事
などに思考を巡らし、注射から意識を逸らしましょう。
病気を予防をする、知る、治すためと思って納得をする
予防接種や、検査のための採血であるという事を、今一度確認するのも良いでしょう。
病気になると、注射以上に大変な治療が待っていたり、時間もかかるものです。
そうならない為、病気にかかっても軽く済ませるため…等、注射の意義やメリットを再確認すると、心構えも固めやすくなります。
子どもが注射を怖がる・嫌がる時の伝え方、対策方法
予防接種が多い年齢のお子さんも、注射を嫌がるケースがとても多いものです。
赤ちゃんの頃より、物事が分かってくる幼稚園以降の年齢から嫌がる、怖がる傾向があります。
ここでは、子どもが注射を怖がる、嫌がる際の対策方法を解説します。
- 事前に説明をする
- 注射時の声かけや対策
- 医療用麻酔シールをうまく活用する
事前に説明をする
注射への恐怖感や嫌がる気持ちを軽減するために、注射をする当日ではなく、事前の準備も重要となります。
- 明日は注射を打ちに行くときちんと伝える
- 病気にならないため等、注射の意義を伝える
- 注射ごっこ遊びをして、注射のイメージトレーニングをする
など、子どもに前もっての説明があると、心構えが出来ます。
黙って注射に連れて行くと、子どもは裏切られたと感じてしまう事も。
注射に行くと知って落ち着かなくなったり、寝つきが悪くても、叱らずに受け止めてあげましょう。
注射時の声かけや対策
注射当日は、緊張もひとしおですが、少しでもスムーズになるよう、取れる対策もあります。
- 先生や看護師さんに協力してもらい、気を逸らさせてもらう
- 安心するぬいぐるみやおもちゃを持参する
- 親、兄弟も注射を打つ場合は、先に打って「大丈夫」な姿を見せる
- 注射後は褒ちぎって「成功体験」の記憶にする
- 前回受けた病院とは別な病院にしてみる
子どもへの注射対応など、病院に関しての周囲の口コミを得ておく事も重要です。
注射のみでなく、病院自体が苦手というお子さんも多いので、院や先生の雰囲気も分かると、本人への説明にも活かせます。
大事な事は、黙ってしない、無理にしない、叱らない事です。
子どもの気持ちに寄り添って、進めましょう。
医療用麻酔シールをうまく活用する
インフルエンザの予防接種などでは、注射が怖くて子どもが大暴れしてしまうこともあります。
大泣きするお子さんを無理やり注射に連れて行くのも、親としてつらい気持ちになりますね。
医療用麻酔シールは、麻酔によって針を刺す際の痛みを和らげるシールで、0歳から使うことができます。
日本ではまだあまり知られていませんが、海外では10以上年前から「マジッククリーム」の愛称で親しまれており、子供たちの注射の際には日常的に使われています。
インフルエンザ、日本脳炎、混合ワクチンなど、小学校に上がると予防接種を受ける機会が増えてきます。
予防接種の度につらい思いをさせないためにも、注射や採血が苦手なお子さんの場合は、麻酔シールを上手く活用しましょう。
痛みを我慢する必要はなくなっている
- 会社の健康診断で採血があるけど、数日前から想像するだけで動悸がする
- インフルエンザの予防接種を子供に受けさせたいけど、注射のたびに大暴れする子どもがかわいそう
- 家族のためにワクチンは打ちたいけど、大人になっても注射は怖い
採血や注射について悩むのは、子供だけではありません。
実は、成人の10人に1人が「注射恐怖症」という注射処置に対して不安や恐怖を感じる病に悩んでいます。
子供の場合は、3人に1人が注射に恐怖を感じています。
注射恐怖症は、
- コントロールの出来ない強い不安、恐怖感
- 胸が締め付けられるような不快感
- 動悸、発汗、吐き気
などの症状があり、中には注射針を見るだけで倒れてしまう方もいらっしゃいます。
ワクチン接種による注射や、健康診断での採血は、私たちの健康を守る上で欠かせないものです。
嫌がって注射を避け続けていると、自分が病気になってしまったり、あるいは大切な家族に病気をうつしてしまうリスクがあります。
「痛み」を大きく緩和させる「医療用麻酔シール」
多くの注射恐怖症の原因は、注射の時に感じる「痛み」が原因です。
「痛みを我慢するのはおかしい。」という、医療従事者の声から開発されたのが、「エムラパッチ」です。
「エムラパッチ」は医療用麻酔シールで、皮膚に麻酔をかけることで針の痛みを大幅に軽減し、不安感を解消します。
テープタイプ、クリームタイプ、パッチタイプの3種類があり、テープタイプなら0歳の赤ちゃんから利用できます。
麻酔で皮膚の神経を麻痺させることで、痛み信号が一時的に伝達されなくなり、痛みを感じなくなります。
2017年に開発された、効果が高く、かつリスクの少ない医薬品です。
日本ではまだ馴染みが薄いですが、海外では10年以上前から、子供の痛みのケアのために麻酔クリームが使用されていました。
海外の子供たちの間では『マジック・クリーム』という愛称で親しまれ、注射などの処置の前に塗布する習慣があります。
ここ最近、日本でも「痛みの緩和は重要」という意識が周知され、痛みを軽減する処置やお薬に保険が適用できるようになってきました。
これにより、子供たちが不安を感じることなく、治療を受けられる環境が整いつつあります。
医師の処方が必要だが、全て無料オンラインで完結できる
処方には医師の診断が必要ですが、わざわざ病院に行く必要はなく、オンラインから無料で診断ができます。
注文〜到着までをスマホだけで全て完結することができ、忙しい人でもスピーディに入手できます。
注射の痛みを軽減する方法は、他にもサプリや医薬部外品の湿布などがあります。
しかし、サプリや湿布では効き目が少なく、痛みを感じてしまうことが多いです。
一方で、医師の処方が必要は麻酔シールには、ハッキリとした痛みの軽減が期待できます。
購入には費用がかかりますが、1枚だけテスト用の麻酔シールがもらうことができ、もしも効果が得られなかった場合は全額返金してくれる保障もあります。
痛みをなくして、生活の質(QOL)向上を
痛みは、我慢すれば耐えることができます。
しかし、果たして痛みは、本当に我慢するべきものなのでしょうか?
注射や採血する日が近づいてくるだけで、胸が苦しくなって、何日も気分が沈む人もいます。
数秒の痛みが怖くて、注射の日まで怯えて過ごす人もいます。
また、嫌がるお子さんを無理やり病院に引っ張っていくことに、つらさを感じる親も多いと思います。
ですが、注射や採血の「血管や筋肉に注射針を刺す」仕組みは、これからも変わらず続きます。
最新医療をうまく使うことで、痛みのない注射を受け、憂鬱な時間から解放されましょう。
関連記事
「痛くない注射の打ち方の工夫・コツを解説」
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「エムラパッチ、麻酔シールはどこで売っている?購入方法、市販場所(医師監修)」
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「なぜ痛い!?採血・注射が痛くない方法7選を徹底解説(医師監修)」
https://mame-clinic.net/column/chuusha-saiketsu-itai
「子どもの注射|嫌がる理由と対策、予防接種、スケジュール」
https://mame-clinic.net/column/chuusha-kodomo-iyagaru-schedule
参考文献
厚生労働省「接種後の「失神」や、その原因ともいわれる「血管迷走神経反射」とは何ですか。」
https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/0073.html