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陰部のできもの・しこり【2026年版】原因となる病気と治療法を医師が解説

[2026.04.17]

陰部にできものやしこりができると、「これは何の病気なのだろう」「悪いものではないか」と不安になる女性は少なくありません。陰部は自分で見えにくい部位でもあるため、症状に気づいても詳しい状態がわからず、さらに心配が募ってしまうこともあるでしょう。

この記事では、陰部のできものやしこりの原因となる病気と症状の特徴、治療法について詳しく解説します。症状別の見分け方や受診の目安も含め、専門医の立場から正確な情報をお伝えしますので、適切な対処法を知る参考にしてください。

陰部にできもの・しこりができる理由

女性の陰部は「デリケートゾーン」と呼ばれるように、他の部位と比べて非常に繊細で敏感な構造をしています。外陰部はヒダが重なり合った複雑な形状で、粘膜や分泌腺が多数存在するため、汚れが溜まりやすく蒸れやすい環境です。

角質層が薄く刺激に弱いため、少しの摩擦や刺激でも炎症を起こしやすい特徴があります。また、下着による圧迫や生理用品の使用により、湿潤で細菌が繁殖しやすい条件が整いやすくなります。

陰部のできものやしこりの原因は、大きく感染症と腫瘍に分類されます。感染症には性感染症だけでなく、常在菌の過剰増殖や傷からの細菌侵入による炎症も含まれます。腫瘍については良性のものがほとんどですが、まれに悪性の可能性もあるため、自己判断せずに医師の診断を受けることが重要です。

陰部のできもの・しこりを引き起こす病気

陰部にできものやしこりを引き起こす病気には多くの種類があります。症状の現れ方や治療法が異なるため、それぞれの特徴を理解することが適切な対処への第一歩となります。

バルトリン腺炎・バルトリン腺嚢胞

バルトリン腺は腟の左右に1つずつある分泌腺で、性的興奮時に潤滑液を分泌する重要な役割を持っています。この腺に炎症が起こったものがバルトリン腺炎、開口部が閉塞して分泌液が溜まった状態がバルトリン腺嚢胞です。

原因は主に大腸菌やブドウ球菌などの細菌感染です。細菌がバルトリン腺に侵入すると炎症を起こし、腫れによって開口部が塞がると分泌物が排出できなくなり嚢胞を形成します。初期は無症状ですが、進行すると小豆大からピンポン球大まで腫れることがあります。

症状が現れていない場合は経過観察で済むことも多く、軽度の炎症には抗菌薬の内服治療を行います。膿瘍形成した場合は切開排膿が必要で、繰り返す場合は開窓術や摘出術などの外科的治療を検討します。

尖圭コンジローマ

ヒトパピローマウイルス(HPV)6型・11型の感染によって発症する性感染症です。性行為によって50%以上の高い確率で感染し、感染から2週間~数か月後にイボ状の病変が現れます。

外陰部や肛門周辺に発生するイボは、表面がザラザラして尖っているのが特徴です。鶏冠様、カリフラワー様、細長い形など様々な形状を示し、色も人によって異なります。痛みやかゆみを伴うこともありますが、無症状のことも多くあります。

治療はイミキモドクリームなどの外用薬から開始し、効果が不十分な場合は冷凍凝固療法や外科的切除を行います。治療後も約25%が3か月以内に再発するため、定期的な経過観察が重要です。現在はHPVワクチンによる予防も可能です。

性器ヘルペス

単純ヘルペスウイルス(HSV1型・2型)による感染症で、一度感染すると神経節に潜伏し再発を繰り返す特徴があります。性行為による接触感染が主な感染経路ですが、タオルなどを介した感染もあり得ます。

初感染時は症状が最も重く、外陰部に多数の水疱や潰瘍が形成され、強い痛みのため歩行困難になることもあります。発熱、頭痛、リンパ節腫脹などの全身症状を伴うことも多く、排尿時の激痛により排尿障害を起こす場合もあります。

治療は抗ウイルス薬(アシクロビル、バラシクロビル)の内服が基本で、5~10日間継続します。年6回以上再発する場合は再発抑制療法を行い、前兆がわかる方にはPIT療法(前兆時の自己判断による服薬)も選択できます。

毛嚢炎(毛包炎)

毛穴に細菌が侵入して炎症を起こした状態で、アンダーヘアの自己処理後に発症しやすい病気です。主な原因菌は黄色ブドウ球菌や大腸菌で、デリケートゾーンの常在菌が傷から感染することで発症します。

症状は毛穴周辺の赤い盛り上がりや膿疱形成で、ニキビに似た外観を呈します。触ると痛みがあり、軽いかゆみを伴うこともあります。悪化すると大きなしこり状になることもあるため、早期の対処が重要です。

治療は抗菌薬の内服や外用で、数日程度で改善が期待できます。症状が重い場合は切開排膿を行うこともありますが、軽度であれば自然治癒する可能性もあります。予防には適切なムダ毛処理と清潔保持が大切です。

粉瘤(表皮嚢腫)

皮膚の下に角質や皮脂が袋状に溜まった良性の嚢胞性病変です。原因ははっきりしていませんが、皮膚の摩擦が多い部位に好発します。女性の陰部は下着による摩擦があるため、粉瘤ができやすい部位の一つです。

通常は痛みのないしこりとして触れますが、細菌感染が起こると腫れと痛みが生じます。中央部に黒い穴があることが多く、圧迫すると臭いの強い内容物が出てくることがあります。放置すると徐々に大きくなる傾向があります。

治療は局所麻酔下での外科的切除が基本で、内容物を完全に摘出する必要があります。感染を合併している場合は抗菌薬による治療も併用します。自然に消失することはないため、気づいた時点で医療機関を受診することをおすすめします。

梅毒

梅毒トレポネーマによる感染症で、2021年頃から感染者数が急激に増加している性感染症です。性器、口腔、肛門などの粘膜や小さな傷から感染し、あらゆる性行為で感染リスクがあります。

梅毒の最大の特徴は症状が現れたり消えたりすることです。第1期(感染後3週間~)には感染部位に硬いしこり(硬性下疳)ができますが、痛みや痒みはありません。第2期(1~3か月後)には手のひらや足の裏に赤い発疹が現れますが、どちらも数週間で自然に消失します。

治療はペニシリン系抗菌薬が非常に効果的で、早期であれば1回の注射または約1か月の内服で完治します。症状が消えても治ったわけではないため、医師の指示に従って完治まで治療を継続することが重要です。

尿道カルンクル

外尿道口に生じる良性腫瘍で、閉経後から高齢の女性に多く見られる疾患です。数mm~2cm程度の小さな赤いできもので、エストロゲンの分泌低下による尿道口の脱出や慢性炎症が原因と考えられています。

多くの場合は無症状ですが、大きくなると排尿後の出血や異物感が生じることがあります。トイレットペーパーに血が付くことで気づくケースが多く、かゆみや痛みを伴うこともあります。

症状がなければ経過観察で十分ですが、出血などの症状がある場合はステロイド外用薬で炎症を抑えます。出血が多い場合や排尿障害がある場合は、泌尿器科での手術的治療を検討します。

その他のできもの

接触性皮膚炎は下着やナプキンによるかぶれで湿疹ができる状態です。原因の除去と抗ヒスタミン薬、ステロイド外用薬による治療を行います。

脂漏性角化症(老人性いぼ)は加齢による皮膚の良性腫瘍で、褐色~黒色でやや盛り上がった病変です。基本的に治療の必要はありません。

外陰がんは非常にまれですが、できものが急激に大きくなる、表面が不整で出血を伴うなどの症状があれば、早急に受診して精査を受ける必要があります。

症状別の見分け方

陰部のできものは症状の特徴から原因をある程度推測できますが、自己診断には限界があり、最終的には医師の診断が必要です。ここでは症状別の見分け方のポイントを解説しますが、参考程度にとどめ、気になる症状があれば必ず専門医を受診してください。

痛みがある場合

強い痛みを伴うできものの代表例は、バルトリン腺膿瘍、性器ヘルペス、感染した粉瘤です。バルトリン腺膿瘍は腟の片側に限局した腫れと痛み、性器ヘルペスは多発する水疱と激痛が特徴的です。

毛嚢炎による痛みは比較的軽度で、毛穴を中心とした限局した痛みとして現れます。感染した粉瘤は元々痛みのないしこりが急に痛み出すという経過をたどることが多いのが特徴です。

痛みがない場合

痛みのないできものでも注意が必要な場合があります。尖圭コンジローマは通常痛みを伴わないイボ状病変ですが、性感染症であるため治療が必要です。梅毒の硬性下疳も痛みのない硬いしこりとして現れます。

粉瘤も感染していない状態では痛みがありません。しかし放置すると大きくなったり感染を起こしたりするため、早めの治療が推奨されます。

イボ・ブツブツがある場合

複数のイボ状病変が見られる場合、尖圭コンジローマの可能性が高くなります。表面がザラザラしている、鶏冠様やカリフラワー様の形状、複数個あるという特徴があれば、HPV感染を疑います。

一方、正常な解剖学的構造物である腟前庭部乳頭や外陰部乳頭症と間違えやすいため、専門医による正確な診断が重要です。約1%の女性に見られる正常な構造物で、治療の必要はありません。

しこり・腫れがある場合

しこりの硬さや可動性から原因をある程度推測できます。バルトリン腺嚢胞は比較的柔らかく、腟の片側にのみ現れます。粉瘤は皮膚との癒着があり、中央に黒い点があることが特徴です。

リンパ節腫大による腫れは、感染症に伴って足の付け根部分に現れます。性器ヘルペスや梅毒などの性感染症で見られることが多く、発熱などの全身症状を伴う場合があります。

病院を受診する目安と診療科の選び方

陰部のできものは恥ずかしさから受診をためらいがちですが、放置すると症状が悪化したり感染が拡大したりするリスクがあります。適切なタイミングで医療機関を受診することが、早期治療と合併症予防につながります。

すぐに受診すべき症状

強い痛みや発熱を伴う場合は、細菌感染が進行している可能性があるため緊急性が高いといえます。バルトリン腺膿瘍や感染した粉瘤では、適切な処置なしに症状が改善することは期待できません。

できものが急激に大きくなっている、出血が止まらない、歩行困難や排尿障害がある場合も早急な医療介入が必要です。性器ヘルペスの初感染では激痛により日常生活に支障をきたすことがあるため、迅速な治療開始が重要です。

受診をおすすめする症状

痛みが軽くても、できものが持続している、徐々に大きくなっている、パートナーに同様の症状があるという場合は受診を強く推奨します。性感染症の可能性があり、感染拡大防止の観点からも早期診断・治療が大切です。

おりものの変化(量の増加、色の変化、異臭)を伴う場合も、感染症を示唆する症状として医師による評価が必要です。見た目に変化がなくても、内部で炎症が進行している可能性があります。

適切な診療科の選び方

陰部のできものは婦人科を第一選択とすることをおすすめします。内診台などの専用設備があり、女性特有の解剖学的構造を熟知した専門医による診察を受けられます。

皮膚科や泌尿器科でも対応可能な疾患もありますが、婦人科疾患との鑑別や性感染症の総合的な検査を考慮すると、婦人科での受診が最も適切です。女性泌尿器科(ウロギネコロジー科)があれば、尿道カルンクルなどの尿路系疾患にも対応できます。

陰部のできものに関するよくある質問

市販薬や軟膏を使っても良いですか?

原因が確定していない状態での自己判断による薬物使用は推奨できません。ステロイド外用薬を感染症に使用すると症状が悪化する可能性があり、抗菌薬の不適切な使用は薬剤耐性菌の発生につながる恐れがあります。

まずは医療機関で正確な診断を受け、原因に応じた適切な治療を行うことが重要です。診断が確定してから、医師の指示に従って薬物治療を開始してください。

パートナーに感染する可能性はありますか?

性感染症(尖圭コンジローマ、性器ヘルペス、梅毒)が原因の場合は、性行為によってパートナーに感染するリスクがあります。症状がある間は性行為を控え、治療完了まで感染予防策を徹底することが大切です。

バルトリン腺炎や毛嚢炎など、性感染症以外の疾患では通常パートナーへの感染はありません。ただし、正確な診断なしには判断できないため、専門医による評価が必要です。

妊娠中にできものができた場合は?

妊娠中は免疫機能の変化により感染症にかかりやすい状態になります。特に性器ヘルペスや尖圭コンジローマは、分娩時に新生児への感染リスクがあるため、早期の診断と治療が必要です。

妊娠中でも安全に使用できる治療薬があるため、症状に気づいたら速やかに産婦人科を受診してください。胎児への影響を考慮した適切な治療法を選択できます。

自然に治ることはありますか?

軽度の毛嚢炎や接触性皮膚炎などは自然治癒する可能性もありますが、多くの疾患では医療介入が必要です。特に感染症は適切な治療なしに完治することは期待できません。

症状が一時的に軽快しても、根本的な原因が解決されていなければ再発や悪化のリスクがあります。自己判断での経過観察は避け、医師による適切な診断と治療を受けることをおすすめします。

予防方法はありますか?

デリケートゾーンの清潔保持が基本的な予防策です。過度な洗浄は避け、刺激の少ない石鹸を使用し、洗浄後はしっかり乾燥させることが大切です。通気性の良い綿素材の下着を着用し、締め付けの強い衣類は避けましょう。

性感染症の予防にはコンドームの適切な使用が有効です。HPVワクチンは尖圭コンジローマの予防効果もあるため、接種を検討することをおすすめします。アンダーヘアの自己処理時は清潔な器具を使用し、処理後のケアも丁寧に行ってください。

まとめ

陰部のできものやしこりは、バルトリン腺炎・バルトリン腺嚢胞、尖圭コンジローマ、性器ヘルペス、毛嚢炎、粉瘤、梅毒など様々な原因で発症します。症状の現れ方や治療法が疾患によって大きく異なるため、正確な診断に基づいた適切な治療が不可欠です。

痛みの有無や病変の形状から原因をある程度推測することは可能ですが、自己判断には限界があり、専門医による診察が最も確実です。特に性感染症が疑われる場合は、パートナーへの感染拡大防止の観点からも早期受診が重要となります。恥ずかしさから受診をためらわず、気になる症状があれば婦人科を受診して適切な診断と治療を受けてください。

※本記事に記載の料金はすべて税込表記です。料金・診療時間・治療内容等は変更される場合がありますので、最新情報は各クリニックの公式サイトをご確認ください。

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