男性更年期障害かも?病院は何科?症状別の受診先と検査

男性更年期障害は、男性ホルモンであるテストステロンの減少などが原因で起こる、身体的・精神的な不調の総称です。この男性更年期障害(LOH症候群)は、テストステロン値の低下をもとにした症候群であり、性欲減退や勃起障害(ED)、全身倦怠感、抑うつ気分、不眠、集中力低下、筋力減少など多岐にわたる症状が見られることが知られています¹。
以前はあまり認知されていませんでしたが、近年その存在が広く知られるようになり、「もしかして自分も?」と感じている方も増えています。LOH症候群は、単なる不調に留まらず、うつ、性機能低下、認知機能の低下、骨粗鬆症、心血管疾患、内臓脂肪の増加、インスリン抵抗性の悪化などにも寄与し、メタボリック症候群のリスクファクターとなること、また心血管疾患や糖尿病、呼吸器疾患のリスクを高めることも指摘されています²。

しかし、いざ病院を受診しようと思っても、「何科に行けばいいの?」「どんな検査や治療をするの?」と悩んでしまう方も少なくないでしょう。この記事では、男性更年期障害の症状が疑われる場合に、適切な病院を見つけ、安心して受診するための情報を詳しく解説します。あなたの症状に合った病院選びの参考にしてください。

男性更年期障害は何科の病院を受診すべき?

男性更年期障害の症状は多岐にわたるため、どの診療科を受診すべきか迷うことがあります。主な症状に合わせて、適切な診療科を選ぶことが大切です。ここでは、男性更年期障害の診療を行っている可能性のある主な診療科とその特徴を解説します。

泌尿器科

男性更年期障害の診療において、最も中心的な役割を果たすことが多いのが泌尿器科です。男性ホルモンの分泌や性機能に関する専門知識が豊富であり、テストステロン値の測定やホルモン補充療法などを専門的に行っています。

  • 泌尿器科が適しているケース:
    • 性欲の低下や勃起力の低下といった性機能の症状が特に強い場合。
    • 頻尿や残尿感といった泌尿器系の症状も伴う場合。
    • ホルモンバランスの乱れに直接的にアプローチしたい場合。
  • 特徴: 男性ホルモン(テストステロン)の測定や、必要に応じたテストステロン補充療法を主な治療として行うことが多いです。男性特有の疾患に関する知識も豊富です。

精神科・心療内科

男性更年期障害では、気分の落ち込み、イライラ、不安感、集中力の低下などの精神症状が強く現れることがあります。LOH症候群には大うつ病の患者が含まれることが多いともされています²。このような精神的な症状が中心の場合は、精神科や心療内科も選択肢となります。

  • 精神科・心療内科が適しているケース:
    • うつ病や不安障害のような精神的な症状が顕著で、日常生活に支障が出ている場合。
    • 他の診療科を受診しても原因が特定できない精神的な不調が続く場合。
    • 心理的なサポートやカウンセリングを受けたい場合。
  • 特徴: 精神的な側面からのアプローチが得意で、抗うつ薬や抗不安薬の処方、精神療法などを行います。身体的な原因だけでなく、心理的なストレスや環境要因なども考慮した治療を行います。

内科

全身の倦怠感、疲労感、不眠、食欲不振、関節痛、筋肉痛などの身体的な症状が中心で、特定の臓器の異常が考えにくい場合、まずは内科を受診するのも一つの方法です。内科医は全身の健康状態を総合的に診ることができるため、男性更年期障害以外の疾患の可能性も視野に入れて診察を行います。

  • 内科が適しているケース:
    • 全身の倦怠感や疲労感が強く、他の原因が思い当たらない場合。
    • 関節痛や筋肉痛、肩こり、腰痛など、整形外科的な原因が考えにくい症状がある場合。
    • 高血圧や糖尿病などの基礎疾患があり、それらの影響も考慮して欲しい場合。
  • 特徴: 全身の臓器や疾患に関する幅広い知識を持ち、初期診断や他の疾患との鑑別診断に役立ちます。必要に応じて専門医への紹介も行います。

男性専門外来・メンズヘルス外来

近年増えているのが、男性特有の健康問題に総合的に対応する男性専門外来やメンズヘルス外来です。これらの外来では、男性更年期障害だけでなく、ED(勃起不全)、AGA(男性型脱毛症)、男性不妊など、幅広い男性の健康問題を専門的に扱っています。

  • 男性専門外来・メンズヘルス外来が適しているケース:
    • 複数の男性特有の症状があり、総合的に診てほしい場合。
    • 男性更年期障害に特化した専門的な知見に基づいた診断・治療を受けたい場合。
    • プライバシーに配慮された環境で相談したい場合。
  • 特徴: 泌尿器科医や精神科医、内科医など、男性医療に関わる複数の専門医が連携していることが多く、多角的な視点から診断や治療を行います。

複数の科を連携して受診する場合

男性更年期障害の症状は複雑で、身体症状と精神症状が混在していることが少なくありません。このような場合、必要に応じて複数の診療科が連携して治療を行うこともあります。例えば、泌尿器科でホルモン補充療法を受けながら、精神科で精神症状に対する治療やカウンセリングを受けるといったケースです。

初めて受診する際は、まずはご自身の最も気になる症状に合わせて診療科を選ぶか、男性専門外来があればそこを受診するのが良いでしょう。初診時に現在の症状を詳しく伝え、医師と相談しながら今後の治療方針や、他の診療科との連携について検討することが大切です。

以下に、各診療科の特徴をまとめました。

診療科 主な専門性・得意な症状 メリット デメリット 適しているケース
泌尿器科 男性ホルモン、性機能、泌尿器系の症状 ホルモン補充療法など専門的な治療が受けやすい 精神的な症状への対応が限定的になる場合がある 性機能の低下が特に気になる、泌尿器症状もある
精神科・心療内科 気分の落ち込み、イライラ、不安、不眠などの精神症状 精神的な側面からのアプローチが得意 身体的な原因の特定に時間がかかる場合がある 精神症状が強く、日常生活に支障が出ている
内科 全身の倦怠感、疲労感、関節痛、筋肉痛などの身体症状 全身状態を総合的に診察、他疾患との鑑別も可能 男性更年期障害に特化した治療経験が少ない場合がある 全身の不調が気になる、特定の原因が不明、基礎疾患がある
男性専門外来・メンズヘルス外来 男性特有の健康問題全般、男性更年期障害 総合的なアプローチ、専門性の高い診断・治療 まだ設置している病院が少ない 複数の男性特有の症状がある、専門的な治療を希望、プライバシーを重視したい
複数の科を連携 身体症状と精神症状が混在する複雑なケース 多角的な視点からの治療、症状に合わせた最適なケア 受診の手間が増える、情報共有に時間がかかる場合がある 身体症状と精神症状の両方が強く、それぞれの専門家による治療が必要

男性更年期障害 受診の目安となる症状チェックリスト

「この症状、もしかして男性更年期障害かな?」と感じたら、一度ご自身の状態をチェックしてみましょう。男性更年期障害(LOH症候群)の症状は多岐にわたり¹、以下のリストは、男性更年期障害でよく見られる症状をまとめたものです。いくつかの項目に当てはまる場合は、医療機関に相談することを検討してみてください。これはあくまで目安であり、医師の診断に代わるものではありません。

精神的な症状

  • 理由もなくイライラしたり、怒りっぽくなった。
  • 些細なことでクヨクヨしたり、落ち込んだりするようになった。
  • やる気が出ない、物事への関心が薄れた。
  • 以前は楽しめた趣味や活動に興味が持てなくなった。
  • 集中力が続かない、仕事や勉強の効率が悪くなった。
  • 記憶力が低下したと感じる。
  • 不安感が強く、些細なことが気になる。
  • 抑うつ気分が続く。
  • 気分が変わりやすく、感情のコントロールが難しい。
  • 他人とのコミュニケーションが億劫になった。

身体的な症状

  • 疲れやすく、以前より体力が落ちたと感じる。
  • 全身の倦怠感が続き、休息しても回復しない。
  • 睡眠の質が悪くなった(寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚める、熟睡感がない)。
  • 肩こりや腰痛、関節痛、筋肉痛がある(特に朝方に強い)。
  • 汗をかきやすくなった(特に上半身や顔のほてり、発汗)。
  • 手足の冷えやしびれを感じる。
  • 動悸や息切れを感じやすい。
  • めまいや立ちくらみがする。
  • 頭痛が頻繁に起こるようになった。
  • 食欲不振や胃の不快感がある。
  • 体重が増加、または減少した。
  • 皮膚の乾燥やかゆみがある。
  • 体毛(髭、胸毛、陰毛など)が薄くなった。
  • 筋力が低下したと感じる。
  • お腹周りに脂肪がつきやすくなった(特に内臓脂肪)。

性機能に関する症状

  • 性欲が明らかに低下した。
  • 朝立ちがなくなった、あるいは頻度が減った。
  • 勃起しにくくなった、あるいは勃起しても硬さが不十分になった。
  • 性行為中に勃起が維持できなくなった。
  • 射精の勢いが弱くなった、あるいは量が減った。

これらの症状は、男性更年期障害だけでなく、他の様々な病気によって引き起こされる可能性もあります。自己判断せず、症状が続く場合は必ず医療機関を受診し、専門医の診断を受けることが重要です
症状を正確に医師に伝えるためにも、いつ頃から、どのような症状が、どのくらいの頻度で現れているかをメモしておくと良いでしょう。

男性更年期障害 病院での検査・診断方法

病院を受診すると、医師は様々な方法で男性更年期障害の診断を行います。男性更年期障害(LOH症候群)の診断には問診と血液検査によるテストステロン測定が不可欠とされています¹。主な検査や診断方法について知っておくと、安心して診察に臨むことができるでしょう。

問診と診察

まず最初に、医師による問診と診察が行われます。問診では、現在の症状(いつから、どのような症状があるか、症状の程度、変化など)、既往歴(過去にかかった病気)、内服中の薬、生活習慣(仕事、ストレス、睡眠、食事、運動、喫煙、飲酒など)、家族構成、精神的な状態など、幅広い内容について質問されます。

特に、先述のチェックリストにあるような男性更年期障害に特徴的な症状について、具体的に聞かれることが多いです。正直に、そしてできるだけ詳しく症状を伝えることが正確な診断につながります。

診察では、医師が必要と判断した場合、全身の状態や特定の部位(例: 泌尿器系)を視診や触診などで確認することがあります。

血液検査(テストステロン値測定)

男性更年期障害の診断において、最も重要な検査の一つが血液検査によるテストステロン値の測定です。テストステロンは日内変動があり、通常は午前中に最も値が高くなります。そのため、正確な値を測定するためには、午前中(特に午前7時~11時頃)に採血を行うのが望ましいとされています。

血液検査では、以下の項目が測定されることが多いです。

  • 総テストステロン値: 血中のテストステロン全体の量を測定します。この値が基準値よりも低い場合に、男性更年期障害が疑われます。基準値は検査機関によって異なりますが、一般的に成人男性では250〜300 ng/dLを下回ると低いと判断されることが多いです。
  • 遊離テストステロン値: 血中のテストステロンのうち、タンパク質と結合しておらず、生体内で実際に作用するテストステロンの量を測定します。総テストステロン値が正常範囲内であっても、遊離テストステロン値が低い場合に症状が現れることもあります。
  • LH(黄体形成ホルモン)とFSH(卵胞刺激ホルモン): これらのホルモンは脳の下垂体から分泌され、精巣のテストステロン産生を調節しています。LHとFSHの値も測定することで、テストステロン低下の原因(精巣機能の問題か、脳下垂体の問題かなど)を探る手がかりになります。
  • SHBG(性ホルモン結合グロブリン): テストステロンと結合するタンパク質です。SHBGの値が高いと、総テストステロン値が高くても遊離テストステロン値が低くなることがあります。

血液検査の結果と問診・診察の結果を総合的に判断して、男性更年期障害であるかどうかが診断されます。テストステロン値が低いからといって必ずしも男性更年期障害と診断されるわけではなく、テストステロン値の低下と、それに伴う特徴的な症状の両方が認められる場合に診断が確定します。

心理検査

精神的な症状(抑うつ、不安、イライラなど)が強い場合、心理検査が行われることがあります。これは、精神的な症状の程度を客観的に評価したり、うつ病などの他の精神疾患との鑑別診断に役立てたりするために行われます。質問紙形式の検査や、医師や心理士との面談形式で行われることがあります。

他の疾患との鑑別診断

男性更年期障害の症状は、他の様々な疾患の症状と似ていることがあります。例えば、甲状腺機能障害、糖尿病、睡眠時無呼吸症候群、貧血、慢性疲労症候群、あるいは単なる過労やストレスなどです。また、高齢男性では前立腺肥大症や前立腺がんなどの泌尿器系疾患の可能性も考慮する必要があります。LOH症候群は心血管疾患、糖尿病、呼吸器疾患のリスクを高めることも指摘されています²。

そのため、医師は問診、診察、血液検査などの結果をもとに、これらの他の疾患の可能性がないかどうかも慎重に検討します。必要に応じて、追加の検査(例:甲状腺ホルモン検査、血糖値検査、睡眠ポリグラフ検査、PSA検査など)を指示されることもあります。

男性更年期障害の診断は、テストステロン値の測定だけでなく、症状の種類や程度、他の病気の可能性なども含めて総合的に行われることを理解しておきましょう。

男性更年期障害 病院での一般的な治療法

男性更年期障害と診断された場合、症状の種類や程度、テストステロン値、ご本人の希望などを考慮して、様々な治療法が選択されます。ここでは、病院で一般的に行われている治療法について解説します。

ホルモン補充療法(テストステロン補充療法)

男性更年期障害の最も代表的な治療法の一つが、低下したテストステロンを補充するホルモン補充療法(TRT: Testosterone Replacement Therapy)です。テストステロンを体内に補充することで、テストステロン値が正常範囲に戻り、症状の改善が期待できます。

  • 期待される効果:
    • 性欲・性機能の改善(性欲向上、勃起力の改善)
    • 精神症状の改善(気分の落ち込み、イライラ、不安の軽減)
    • 全身症状の改善(倦怠感、疲労感、睡眠の質の向上)
    • 筋力や骨密度の向上
    • 内臓脂肪の減少
  • 投与方法:
    • 注射: 2週間に1回、または3~4週間に1回程度、筋肉注射で投与する方法が一般的です。比較的短期間で効果が現れやすいですが、定期的な通院が必要です。
    • 塗り薬(ジェル・クリーム): 毎日皮膚に塗布する方法です。テストステロン値の変動が少なく、安定した効果が期待できます。自宅で手軽に行えますが、皮膚への刺激や、塗布部分から他者へテストステロンが移行しないように注意が必要です。
    • 貼り薬(パッチ): 皮膚に貼ってテストステロンを吸収させる方法です。塗り薬と同様に安定した血中濃度を保ちやすいですが、皮膚トラブルを起こすことがあります。
  • 注意点と副作用: ホルモン補充療法は、効果が期待できる一方で注意点や副作用もあります。
    • 前立腺への影響: 前立腺肥大症の悪化や、前立腺がんの進行を促す可能性があります。そのため、治療開始前と治療中は定期的に前立腺の検査(PSA検査や直腸診など)を行う必要があります。前立腺がんがある方や疑いのある方には禁忌となる場合があります。
    • 多血症: 赤血球が増えすぎて血液がドロドロになり、血栓ができやすくなることがあります。定期的な血液検査で確認し、必要に応じて献血などで対応します。
    • 肝機能障害: 一部の経口剤(現在はあまり使われないことが多い)では肝臓への負担が指摘されています。
    • 睡眠時無呼吸症候群の悪化: 症状がある場合は注意が必要です。
    • 不妊: テストステロン補充療法は精子を作る機能を抑制するため、治療期間中は一時的に不妊になる可能性があります。将来的に子供を希望される場合は、治療開始前に医師と十分に相談する必要があります。
    • 女性化乳房: まれに乳房が大きくなることがあります。
    • 心血管イベントのリスク: テストステロン補充療法と心血管イベント(心筋梗塞や脳卒中など)のリスク増加との関連について議論がありますが、現時点では明確な結論は出ていません。しかし、心血管疾患がある方やリスクの高い方には慎重な判断が必要です。

ホルモン補充療法を開始する際は、これらのリスクについて医師から十分な説明を受け、ご自身の健康状態や既往歴を正確に伝えることが非常に重要です。治療中は定期的な通院と検査が必要となります。

漢方療法

男性更年期障害の症状に対して、漢方薬による治療も行われることがあります。漢方医学では、体の全体のバランスを整えることに重点を置いて治療を行います。ホルモンバランスの乱れだけでなく、気血水の巡りの滞りなど、個々の体質や症状に合わせて処方されます。

  • 代表的な漢方薬:
    • 補中益気湯(ほちゅうえっきとう): 全身の倦怠感、気力低下、食欲不振などに用いられます。
    • 十全大補湯(じゅうぜんたいほとう): 体力や気力の低下が著しい場合に用いられます。
    • 八味地黄丸(はちみじおうがん): 泌尿器症状(頻尿、夜間尿)や腰痛、下肢の倦怠感、性機能の低下などに用いられます。
    • 加味逍遙散(かみしょうようさん): イライラ、不安、不眠、頭痛、肩こりなどの精神神経症状に用いられます(女性に処方されることが多いですが、男性にも用いられることがあります)。
  • 特徴: 漢方療法は、ホルモン補充療法と比較して効果が現れるまでに時間がかかることが多いですが、副作用が比較的少ないとされています。テストステロン値自体を直接的に上昇させる効果は限定的ですが、全身症状や精神症状、体質改善に効果が期待できます。ホルモン補充療法が難しい場合や、併用して治療を行いたい場合などに選択されます。

漢方薬の処方は、医師が患者さんの体質や症状を詳細に診察した上で決定します。自己判断で服用せず、必ず専門医に相談してください。

精神療法・カウンセリング

男性更年期障害の精神的な症状(抑うつ、不安、イライラなど)が強い場合や、症状によって精神的なストレスを抱えている場合、精神療法やカウンセリングが有効です。精神科医や心療内科医、臨床心理士などが担当します。

  • 目的:
    • 症状の原因や背景にあるストレス要因の特定と対処
    • 感情のコントロール方法の習得
    • 症状との向き合い方、受容
    • 認知行動療法などによる否定的な思考パターンの改善
    • 家族やパートナーとの関係性の改善
  • 特徴: 精神療法やカウンセリングは、薬物療法とは異なり、対話を通じて患者さんの内面的な問題にアプローチします。特に、更年期というライフイベントに伴う変化への適応や、アイデンティティの危機など、心理的な側面が関与している場合に有効です。

必要に応じて、抗うつ薬や抗不安薬などの薬物療法と並行して行われることもあります。

生活習慣の改善指導

男性更年期障害の症状は、生活習慣と密接に関連しています。LOH症候群は、メタボリックシンドロームのリスクファクターにもなるため²、治療として、あるいは症状の予防や緩和のために、生活習慣の改善が非常に重要になります。病院では、医師や保健師、管理栄養士などから、具体的な生活習慣の改善指導を受けることができます。

  • 具体的な指導内容:
    • バランスの取れた食事: テストステロンの生成に関わる亜鉛やビタミンDを積極的に摂取し、高脂質・高糖質の食事を控えるなど。
    • 適度な運動: 特に筋力トレーニングや有酸素運動は、テストステロンの分泌を促し、筋力低下や内臓脂肪の増加を防ぐのに有効です。週に2〜3回、無理のない範囲で継続することが推奨されます。
    • 十分な睡眠: 質の高い睡眠はホルモンバランスを整える上で重要です。規則正しい生活を心がけ、寝る前のカフェインやアルコール摂取を控えるなどの工夫が有効です。
    • ストレスマネジメント: ストレスはテストステロン分泌を抑制する可能性があります。趣味やリラクゼーション、マインドフルネスなどでストレスを解消する方法を見つけることが大切です。
    • 禁煙・節酒: 喫煙や過度な飲酒は男性ホルモンのバランスを崩す要因となります。
    • 体重管理: 肥満、特に内臓脂肪の蓄積はテストステロンを低下させる可能性があります。適正体重を維持することが重要です。

これらの生活習慣の改善は、薬物療法やホルモン補充療法と組み合わせて行うことで、より効果的な治療につながります。また、症状が軽度な場合は、まず生活習慣の改善から始めることもあります。

どの治療法を選択するかは、医師が総合的に判断し、患者さん本人と十分に話し合った上で決定されます。疑問点や不安な点があれば、遠慮せずに医師に質問しましょう。

自分に合った男性更年期障害 病院を選ぶポイント

男性更年期障害の症状に悩んでいる場合、どこで診察を受けるかは重要な選択です。自分に合った病院を選ぶために、以下のポイントを参考にしてみてください。

専門医の有無

男性更年期障害や男性の健康に詳しい専門医がいるかどうかは、病院選びの重要なポイントです。例えば、日本Men’s Health医学会では、男性更年期障害(LOH症候群)の専門医や認定医のリストを公開しています。このような専門医は、男性更年期障害に関する最新の知見を持ち、適切な診断と治療を提供してくれる可能性が高いです。

必ずしも専門医でなければならないわけではありませんが、特に症状が複雑だったり、他の疾患も合併している場合などは、専門医のいる医療機関を検討する価値があります。

検査・治療法の種類と方針

その病院でどのような検査や治療法が行えるかを確認しましょう。先述の通り、テストステロン値の測定は必須ですが¹、それ以外のホルモン検査や、他の疾患を除外するための検査(PSA検査、甲状腺ホルモンなど)がスムーズに行えるかどうかも確認しておくと良いでしょう。

治療法についても、ホルモン補充療法(注射、ジェルなど)、漢方療法、精神療法など、複数の選択肢があるか、あるいはご自身が希望する治療法に対応しているかを確認しましょう。病院によっては特定の治療法に特化している場合もあります。ご自身の症状や希望する治療方針に合った病院を選ぶことが大切です。ホームページや電話で事前に確認すると良いでしょう。

プライバシーへの配慮

男性更年期障害に関する悩みはデリケートなものです。他の患者さんに聞かれたくない、待合室で顔を合わせたくないなど、プライバシーへの配慮を重視したい方もいらっしゃるでしょう。

  • 個室での診察: 診察室が個室になっているか。
  • 待合室: 待合室が混雑しにくい、あるいは仕切りがあるかなど、プライバシーに配慮した構造になっているか。
  • 受付での対応: スタッフの対応が丁寧で、病状に関する情報が漏れないよう配慮されているか。
  • オンライン診療の有無: 病院によってはオンライン診療に対応しており、自宅から診察を受けることができるため、プライバシーが守られやすいという利点があります。

特に男性専門外来などでは、プライバシーに配慮した設計になっていることが多いです。事前にホームページなどで確認したり、問い合わせてみたりすると良いでしょう。

アクセスや通いやすさ

男性更年期障害の治療は、症状や治療法によっては継続的な通院が必要となる場合があります。無理なく通院できるよう、自宅や職場からのアクセスが良い、あるいは診療時間がご自身のライフスタイルに合っている病院を選ぶことも重要なポイントです。

公共交通機関でのアクセスが良いか、駐車場があるか、夜間や土曜日の診療があるかなども確認しておきましょう。オンライン診療を利用する場合は、システムが使いやすいか、通信環境は安定しているかなども確認しておくと安心です。

料金・保険適用について

男性更年期障害の診断や治療にかかる費用についても確認しておきましょう。症状や検査結果によっては保険適用となる場合があります。例えば、一定のテストステロン値の低下があり、それに伴う症状がある場合などです。ただし、検査項目や治療法によっては保険適用外となる場合もあります。

  • 初診料・再診料: 料金体系を確認しましょう。
  • 検査費用: どのような検査が必要か、それぞれの費用はどのくらいか。
  • 治療費用: ホルモン補充療法、漢方薬など、選択する治療法によって費用が異なります。特にホルモン補充療法は薬剤費がかかるため、継続する場合の費用についても確認しておきましょう。
  • 保険適用の可否: ご自身の症状が保険適用の対象となるか、医師に確認しましょう。

事前にホームページなどで情報収集するか、受付に問い合わせてみることをお勧めします。ただし、具体的な診断に基づかないと正確な費用は分からないため、あくまで目安として捉えましょう。

これらのポイントを考慮して、複数の病院を比較検討し、ご自身が最も信頼でき、安心して通院できる病院を見つけることが、男性更年期障害の治療を成功させるための第一歩となります。

男性更年期障害に関するよくある質問

男性更年期障害について、患者さんがよく疑問に思う点とその回答をまとめました。

男性更年期障害は保険適用されますか?

男性更年期障害(LOH症候群)の診断と治療は、多くの場合、保険適用となります。具体的には、血液検査でテストステロン値の低下が確認され、それに伴う男性更年期障害の症状が認められる場合に、疾患として診断され、保険診療の対象となります。

ただし、保険適用となるかどうかは、医療機関の判断や、行われる検査・治療の内容によって異なる場合もあります。例えば、美容目的の治療や、保険適用外の検査項目、自由診療の治療法を選択した場合は、保険が適用されません。

初診時に、ご自身の症状が保険診療の対象となるか、またどのような検査や治療が保険適用になるかについて、医師に確認することをおすすめします。

治療期間はどれくらいですか?

男性更年期障害の治療期間は、個々の症状の程度、テストステロン値の低下の度合い、選択する治療法、そして治療に対する体の反応によって大きく異なります

ホルモン補充療法の場合、効果を実感するまでに数週間から数ヶ月かかることがあります。症状が改善した後も、テストステロン値を維持し、症状の再発を防ぐために、治療を継続するケースが多いです。長期にわたる治療が必要となることが一般的ですが、どのくらいの期間継続するかは、定期的な検査と医師との相談によって決定されます。

漢方療法や生活習慣の改善も、効果が現れるまでに時間がかかります。これらの治療法も、症状の改善や体質改善を目指して継続的に行うことが重要です。

治療期間については一概には言えませんが、一般的には短期で完治する疾患ではなく、症状を管理しながら付き合っていく必要がある場合が多いです。治療を始める際に、今後の治療計画や期間の目安について医師に確認しておくと良いでしょう。

症状は自然に改善しますか?

男性更年期障害の症状が、時間とともに自然に完全に消失することは稀です。男性ホルモンであるテストステロンは、加齢とともに徐々に減少していくのが自然な生理現象です。テストステロンの低下が主な原因である場合、その低下が進むにつれて症状が悪化したり、継続したりする可能性があります。

ただし、症状が一時的なストレスや過労、他の病気などが原因である場合は、それらの原因が解消されれば症状が改善することもあります。しかし、男性更年期障害と診断されるような、テストステロンの明らかな低下に伴う症状の場合は、医療的な介入なしに改善することは難しいと考えられます。

症状を放置しておくと、精神的な不調がうつ病に進行したり、骨密度の低下が進んだり、生活の質が著しく低下したりする可能性があります。LOH症候群は心血管疾患などのリスクファクターにもなりうるため²、早めに医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることが大切です。治療によって症状が改善し、QOL(生活の質)を向上させることが期待できます。

まとめ:男性更年期障害が疑われるなら病院へ相談を

男性更年期障害は、40代以降の男性に起こりうる心身の不調であり、テストステロンの低下などが関係しています。この男性更年期障害(LOH症候群)は、テストステロン値の低下をもとにした症候群であり、多岐にわたる症状が見られることが知られています¹。「年のせいかな」「気の持ちようだ」と見過ごされがちですが、LOH症候群はうつ病や心血管疾患、メタボリックシンドロームなどのリスクファクターにもなりうる²ため、適切な医療によって症状を改善し、健康的な生活を取り戻すことが可能です。

もしあなたが、この記事で解説したチェックリストにあるような症状に心当たりがあり、「もしかして男性更年期障害かも?」と感じているなら、一人で悩まず、まずは医療機関に相談することをお勧めします。

受診すべき診療科は、泌尿器科、精神科・心療内科、内科、または男性専門外来など、症状やご自身の希望によって選択肢があります。どの科が良いか迷う場合は、男性専門外来や、かかりつけ医に相談してみるのも良いでしょう。

病院では、問診や診察に加え、テストステロン値などの血液検査によって診断が行われます¹。診断に基づき、ホルモン補充療法や漢方療法、精神療法、生活習慣の改善など、様々な治療法の中から、あなたに合った方法が提案されます。

病院を選ぶ際は、専門医の有無、提供される検査や治療法の種類、プライバシーへの配慮、アクセス、そして料金や保険適用について確認することが大切です。いくつかの病院の情報を集め、比較検討してみてください。

男性更年期障害は、早期に発見し、適切な治療を受けることで症状の改善が期待できる病気です。症状に悩む毎日から抜け出し、活動的で充実した日々を送るために、勇気を出して病院の扉を叩いてみましょう。

引用元:
[1] 男性更年期障害(LOH症候群) | 東邦大学医療センター大森病院 リプロダクションセンター(https://www.lab.toho-u.ac.jp/med/omori/repro/patient/loh.html
[2] LOH症候群 | 順天堂大学医学部附属順天堂医院 泌尿器科(https://hosp.juntendo.ac.jp/clinic/department/hinyo/disease/case06.html

免責事項:
この記事は、男性更年期障害に関する一般的な情報を提供することを目的としており、特定の治療法や医療機関を推奨するものではありません。医学的な判断や治療については、必ず専門の医師の診断と指導を受けてください。記事中の情報は、執筆時点での一般的な知識に基づいており、個々の状況によって異なる場合があります。この記事の情報に基づいて行ったいかなる行為についても、当サイトは責任を負いかねます。